Research Abstract |
層状構造をもつ金属間化合物中には,成分の微妙な変化や熱処理条件のちがいにより,多形を示すものがいくつか知られている。 代表者らはこれ迄,Mg系三元合金ラ-ベス相やSmーCo,SmーNi合金系における多形について研究を行い,これらの合金中には多形と共に,はげしく乱れた積層不整を多く観察し,その構造を解析した。 分担者北野らは,MgCd規則合金について高分解能電子顕微鏡観察を行い,この合金に存在する一次元欠陥の回位(ディスクリネ-ション)を詳細に観察して回位の可能な型を分類し,その特性を考察した。 代表者らはさらに本年度,金属微粉末を原材料とし,ボ-ルミルを使った機械的合金化法(MA法)によりCuーNi,FeーCr,FeーNi,NiーCr合金の作成を行い,その際雰囲気,ミリング時間,熱処理条件などを変化させてX線回折,電子顕微鏡像,微小部分析などを試みて,その構造変化,欠陥などを調べた。その結果CuーNi合金では(1)MA時間が72時間迄は速やかに以後はゆるやかに合金化することが格子定数変化より判明した。(2)メタノ-ル雰囲気よりもアルゴン雰囲気の方が早く合金化が進行すること,(3)MA後のブロ-ドなX線反射は熱処理すると鋭くなって歪が除去され,結晶粒の成長を示した。 FeーCr系においてはbccFe,Cr粉末のMAによってσ相を作成することが出来ず,一方バルクのFeCrの相をミリングするとbcc構造が出現した。またFeーNi,NiーCr系ではbcc,fccの両成分金属のMAで条件によって単一相となったり,混合相が出現したり,末知の化合物の存在や,はげしい格子欠陥を示すX線回折図形が得られ,事象がかなり複雑であり更に詳細な検討が必要とされる。
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