1990 Fiscal Year Annual Research Report
オ-ジェ電子分光分析によるウスタイト中不純物の高温における表面偏析の研究
Project/Area Number |
02650479
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
井口 義章 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (00023268)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 昭二 名古屋工業大学, 工学部, 助手 (40024351)
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Keywords | 表面偏析 / ウスタイト / CaO |
Research Abstract |
今年度の研究計画に基づいて溶質酸化物としてCaOを選び、ウスタイト中のCaOの表面偏析について研究した。試料のCaO濃度はFe_<0.924>Oに対するCaOのモル分率X^<bulk>で0.0001、0.0003、0.001、0.003、0.01である。試料の測定直前の焼鈍条件は1273K、50%COー50%CO_2、60hである。この焼鈍したままの試料をホットステ-ジにセットし、デプスモ-ドでCa、O、Feの微分スペクトルを取りながら523Kから1223Kまで約60sで昇温した。CaO濃度は途中で最大値を示した後、1223Kに到着してから約600sでその温度での平衡値に達した。以後、1173K、1073K、973Kで平衡値まで分析した。微分モ-ドのピ-ク強度を相対感度法で定量化して表面濃度をモル分率X^<surf>として定量化した。同一温度でみると、X^<surf>/(1ーXsurf)はX^<bulk>/(1ーXbulk)に比例した。同一のX^<bulk>でみると温度の低下に伴って増加し、X^<surf>/(1ーX^<surf>)はexp(△H^<seg>/RT)に比例した。この勾配から表面のFeイオンとバルクのCaイオンの交換エネルギ-である表面偏析エネルギ-△H^<seg>はX^<bulk>の増加にともなって減少しが、X^<bulk>=0.001のときには△H^<seg>=0であり、表面にほぼCaFe305に対応する2次元化合物が生成されていることが分かった また、△H^<seg>はX^<surf>には依存しなかった。X^<surf>の試料面方位依存性を調べるため異なったいくつかの結晶粒についてもX^<surf>を測定した結果、かなりの差が認められたが表面はファセッティングでいくつかの結晶面から構成されていると推測され、面方位依存性を正確に求めることは出来なかった。しかし、焼鈍後研磨した試料よりも焼鈍したままで分析したほうがX^<surf>のバラツキは小さかった。以上のように計画調書の平成2年度の予定どうりの成果が得られた。来年度は固溶酸化物を換えて測定する予定である。
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