1991 Fiscal Year Annual Research Report
オ-ジェ電子分光分析によるウスタイト中不純酸化物の高温における表面偏析の研究
Project/Area Number |
02650479
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
井口 義章 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (00023268)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 昭二 名古屋工業大学, 工学部, 助手 (40024351)
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Keywords | 表面偏析 / ウスタイト / 不純物 / 高温 / イオン半径 / 偏析速度 / 還元速度 |
Research Abstract |
平成2年度に引き続き本研究代表者らが作製したホットステ-ジを使用して、ウスタイト中不純酸化物の973Kから1223Kまでの高温における表面偏折を、不純酸化作を変えて研究した。つぎに、項目別に結果を記述する。 (1)不純酸化物の高温表面偏析:CaOが高温での熱力学的な平衡状態で表面偏析することは平成2年度に明らかにし、既に報告した。今年度はCaOのほかにMgO、Al_2O_3、SiO_2について、同様に測定した。その結果、これら3不純酸化物は全く表面偏析しないことが明らかになった。MgOをバルク濃度で分析可能な高濃度に含む固溶体を作製して、表面偏析傾向を調べた。その結果、MgOは表面偏析傾向が全く無いことを確認することができた。なお、ウスタイト中Na_2O、K_2Oの表面偏析については、それらの元素が試料との接触点からホットステ-ジを汚染するため、ホットステ-ジ使用計画の最後に測定することにした。 (2)表面偏析駆動力の特定:不純酸化物の金属イオンがホストイオンより大きいことによる格子歪がその表面偏析によって緩和されることが偏析の駆動力と推定した。不純酸化物のイオンの電価がホストイオンより大きいことは高温表面偏析にほとんど寄与しないことが分かった。 (3)速度論的検討:昇温過程のCaOの表面濃度変化から、約923Kより高い温度では比較的速い速度でCaOが表面に偏析してくることが明らかになった。これはMcLeanの式による計算結果ともよく一致する。 (4)ウスタイトの還元との関連:CaOは上述不純酸化物中ただ一つ還元を速くするが、表面偏析してその効果が生じるとの結論を導き出すことができた。
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[Publications] 井口 義章,後藤 敬典,林 昭二,広瀬 誠,原 勇二: "オ-ジェ電子分光用ホットステ-ジの作製とウスタイト中CaO表面偏析とその場測定" 材料とプロセス. 4. 156-156 (1991)