1991 Fiscal Year Annual Research Report
鉄族金属共存下におけるZna Underpotential Deposition
Project/Area Number |
02650485
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
秋山 徹也 九州大学, 工学部, 助教授 (10136517)
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Keywords | 電気めっき / 合金電析 / アンダ-ポテンシャル析出 / 異常型共析 |
Research Abstract |
前年度において行った実験結果から,ZnのUnderpotential Deposition現象は,本来Znの存在によって大きく抑制されていた鉄族金属の放電がその単独析出の電位まで復極するような電解条件の変更によって,より現れやすいことがわかった。しかしながら,Znー鉄族金属合金電析に見られる異常型共析現象は,陰極界面のpH上昇により生成したZn水酸化物に起因するものと考えられており,Underpotential領域で得られる電析物中のZnは,水酸化物あるいは硫酸塩として存在する可能性もある。そこで,本年度は,まずESCAを用いて,種々の電位で電析したZnーNi合金の化学状態を検討した。その結果,UnderpotentialおよびOverpotentialのいずれの領域で析出した電析物の場合もNiおよびZnのESCAスペクトルは金属Zn,Niのそれと一致し,NiのみならずZnも金属状態まで還元されていることがわかった。 熱力学的には,金属電析が始まる電位はNernstの式によって与えられる平衡電位であり,溶液中の金属イオンの活量および固相中の金属自身の活量の値に左右される。したがって,標準単極電位より貴な金属属電析が起こる場合,溶液中の金属イオンあるいは電析物中の金属の活量が小さくなっていることが考えられる。一般に,溶液中の金属イオンの活量の変化は本実験の場合無視できると考えられるので,上記のようなUnderpotential領域での電析合金中のZnの活量が安定な金属間化合物の生成により極めて小さくなっている可能性もある。そこで,X線回析法により,種々の電位で電析した合金相の同定を行ったが,Underpotential領域に固有の合金相は存在せず,合金中の金属Znの活量低下は本研究におけるZnのUnderpotential Depositionを説明することはできなかった。したがって,Znー鉄族金属系に固有な異常型共析機構との関連において,より詳細な検討が必要である。
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