生体材料用焼結チタン合金の開発

1992 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 02650497
• Research Institution: Osaka University
• Principal Investigator: 真島 一彦 大阪大学, 工学部, 助手 (60029270)
• Keywords: 生体材料 / 生体親和性 / 焼結 / チタン合金 / Ti-4Fe合金 / 分極曲線 / 耐蝕性 / 不動態皮膜

Research Abstract

チタン合金は生体との親和力が良好なことから不鋳鋼に代って生体材料としてその用途を拡大しようとしている。なかでもTi-6Al-4V合金が注目されているが,最近バナジウム(V)に毒性のある可能性があることが報告され,これに代るチタン系合の開発が切望されている。筆者らが構造用材料として検討してきたTi-4Fe焼結合金は生体に対してきわめて安全な2元素から成り立っており,生体材料にも適した材料と考えられる。以上のことを踏えた上で,生体材料としての応用を目指して本Ti-4Fe合金の腐蝕特性を現在すでに生体材料として使用されているTi-6Al-4V合金および生体材料として新たに開発され,注目されているTi-2.5Fe-5Al合金との比較のもとに分 曲線を求めることにより検討した。その結果,生現食塩水中において試験条件を厳しくすると,Alを含有するTi-6Al-4VおよびTi-2.5Fe-5Al合金では局部腐蝕を呈するのに対し,Ti-4Fe試料では研摩キズのある活性な部分でもまったく腐蝕されずきわめて耐蝕性が高いことが確かめられた。また不動態皮膜ける組成分析をF_2PMAにより検討したところ,局部腐蝕を呈した上記の2試料ではAlがかなり減少していることが確かめられた。これに対し,本研究で開発したTi-4Fe試料ではマトリックスの組成とほとんど変わっていないことが明らかとなった。この時に今回開発したTi-4Fe合金がTi合金中でも特に耐蝕性に優れているTi-6Al-4V合金より,一層耐蝕性が高いということでその機構について現在検討中であり,また,上記の静的特性以外の実用に際しての動的試験,例えば生理食塩水中における疲労試験等についても検討中である。なお本系試料を家兎に移植固定しての生体実験は現在進行中である。

Research Products

• [Publications] 真島 一彦,天藤 恭太郎,山本 光政,永井 宏,庄司 啓一郎: "HIP処理したTi-4Fe合金の不動態被膜中における組成分析" 粉体および粉末冶金. 36. 917-925 (1990)
• [Publications] 真島 一彦,永井 宏,辻 栄治,大西 啓靖: "生体材料用焼結チタン合金の開発(I)" 生体材料. 10. 3-10 (1992)
• [Publications] 真島 一彦,永井 宏,辻 栄治,大西 啓靖: "生体材料用焼結チタン合金の開発(II)" 生体材料. 10. 11-17 (1992)