1990 Fiscal Year Annual Research Report
傾斜組成制御層を用いた金属/セラミックス焼結接合の研究
Project/Area Number |
02650526
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川崎 亮 東北大学, 工学部, 助教授 (50177664)
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Keywords | 傾斜組成制御 / 焼結 / 接合 / 熱応力緩和 / HIP / 傾斜機能材料 |
Research Abstract |
本研究は、粉末冶金法を用いた金属とセラミックスの新しい接合法の研究を目的としている。最近、核融合炉、ガスタ-ビン、宇宙往還機など、材料の使用環境条件はますます苛酷になりつつあり、セラミックスの優れた性質(たとえば、耐熱性、高温強度、耐酸化性等)を活かし、かつ、その短所である靭性を補うために、セラミックスと金属の接合法の研究が活発に行なわれている。しかし、結晶構造が明らかに異なり、熱的・機械的諸物性に大きな差を有するセラミックスと金属の接合は極めて因難であり、接合強度、耐熱温度などの点で十分な接合法は依然として確立されていないのが現状である。セラミックスと金属の接合において第一に重要な課題は、接合界面でセラミックスと金属の熱的・機械的性質が不連続的に急変するために生じる熱応力である。各種の熱応力緩和法が提案されいてるが、いずれの方法も本質的な解決策となっておらず、かつ、ろう接法が中心となっているため使用限界温度が低い欠点を有している。 本研究では、粉末冶金法により、組成がセラミックスから金属へ、段階的および連続的に遷移する組成制御層(以後傾斜組成制御層と略す)を形成し、金属とセラミックスの熱的・機械的諸物性の接合界面での不連続性を解消し、これによって熱応力の発生を最小限におさえることにより、金属とセラミックスの高強度、かつ高信頼性の接合法の確立を目的としている。 平成2年度は、熱応力解析により金属/セラミックス接合境界に生じる熱応力、連続的な物性の遷移による熱応力緩和効果およびその寸法形状依存性を明らかにする。また、原料粉末の混合、成形および焼結条件を検討するとともに、焼結体の組成と諸物性の関係を明らかにする。 1.有限要素法による接合部の熱応力解析を行ない、熱的・機械的諸物性を連続的にセラミックスから金属に遷移させた場合にどの程度どの程度の熱応力緩和が期待できるかを明らかにし、接合体の寸法、形状、物性遷移層の厚さおよび分布と熱応力状態の関係を明らかにした。 2.原料粉末の混合、組成制御充填および成形、HIP焼結条件を検討した。 3.各組成の焼結体を作製し、ミクロ組織解析を行なうとともに、諸物性値を測定し、組成および組織と熱的・機械的性質の関係を明らかにした。
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