1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02650549
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Research Institution | Saitama Institute of Technology |
Principal Investigator |
内山 俊一 埼玉工業大学, 工学部, 助教授 (80129163)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
萩原 時男 埼玉工業大学, 工学部, 助教授 (80164763)
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Keywords | フロ-インジェクション法 / バナナ抽出液 / ホウレン草抽出液 / ド-パミン類 / ポリフェノ-ル類 / 総ビタミンC |
Research Abstract |
天然に生育する動植物の組織は豊富な酵素の資源であり、また品種によってその有する酵素の種類が異なることは良く知られている。そこで本研究は生物の組織を天然の固定化酵素として捉え、生物組織およびその抽出液をそれぞれ分析化学における新しい酵素試薬および酵素溶液として用いることが可能であることを実証するとともにフロ-インジェクション法やバイオセンサ-のシステムにこれらの生物組織を物質識別素子として取り入れることを試みた。具体的にはキュウリの抽出液をカ-ボンフェルトに含浸させた薄膜を酵素リアクタ-として用いる新しいLーアスコルビン酸センサ-を作製し、その応答特性を調べた。これは本研究者が創案した濃度ステップアンペロメトリックセンサ-の応用を拡大することに連がり、簡便な植物組織センサ-として有用であることが明かにされた。またキュウリやホウレン草及びバナナの実の抽出液は天然の酵素溶液であり、フロ-インジェクションシステムのキャリア液として有用であることを各基質の応答性を調べることによって実証した。これらの植物抽出液にはそれぞれ,Lーアスコルビン酸やカテコ-ルオキシダ-ゼおよびポリフェノ-ルオキシダ-ゼが多量に含まれており、酸素電極を検出器とすると安価で簡便な総ビタミンC、カテコ-ル類およびド-パミンやアドレナリンなどのポリフェノ-ル類のセンサ-システムとして機能することが明かにされた。抽出液の腐敗を防ぐ目的でアジ化ナトリウムを添加したが、抽出液の酵素寿命は0.3%アジ化ナトリウム添加した場合約1週間であった。また測定電流ピ-ク値の相対標準偏差は3ー5%であり、比較的再現性の高い計測システムであることが判明した。以上のことから、生物組織を利用する計測システムは安価で簡便な新しい測定法として今後研究が進展することが期待される。
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[Publications] 内山 俊一,鈴木 周一: "キュウリジュ-スをキャリヤ-とする総ビタミンCのフロ-インジェクション分析" 分析化学. 39. 793-795 (1990)
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[Publications] 内山 俊一: "生物組織機能を利用する生体成分計測法" 化学センサ. 6. 34-39 (1990)
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[Publications] S.Uchiyama,Y.Umezu: "ConcentrationーStep amperometric sensor of Lーascorbic acid using cucumber juice" Anal.Chim.Acta.