1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02650555
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
大石 修治 信州大学, 工学部, 助教授 (50021027)
|
Keywords | 放射線検出器 / 単結晶材料 / 酸化物 / ケイ酸ガドリニウム / フラックス育成 / フッ化カリウム / ケイ酸ガドリニウムナトリウム / フッ化ナトリウム |
Research Abstract |
LiF,NaFおよびKFをフラックスとした高温溶液(1100℃,容器には容量30cm^3の白金るつぼを使用)を徐冷(5℃/h)して,酸化物の放射線検出器材料として有望なGd_2SiO_5単結晶の育成を試み,以下の結果を得た。1.KFフラックスから約0.4mmの目的単結晶を育成した。得られた単結晶は,無色透明で自形をもち,高品質であった。単結晶育成の最適組成は,Gd_2SiO_5(5mol%)ーKF(95mol%)であった。この調合物組成よりも溶質濃度が増加すると,生成する単結晶は小型化する傾向があった。溶質濃度が30mol%にもなると,生成する単結晶の大きさはたかだか0.03mmにすぎなかった。フラックスに用いたKFは,水溶性であるので,単結晶との分離が要易であるなどの長所をもっている。KFは,Gd_2SiO_5単結晶育成の最適フラックスであることがわかった。2.LiFフラックスからも目的の単結晶を育成できた。生成した単結晶の大きさは約0.4mmであった。しかしながら,それらの単結晶の透明度や自形の発達程度は,KFフラックスから成長した単結晶と比べると,はるかに劣っていた。また,目的結晶のほかに,フラックス自身も単結晶として成長してしまった。そのLiF単結晶は白色半透明であり,その大きさは約3.8mmであった。したがって,LiFは,KFよりもフラックスとしての性能が劣っていることがわかった。3.NaFフラックスからは,目的の単結晶が全く生成そなかった。そのかわりに,約4.2mmにも対するNaGdSiO_4単結晶が成長した。これは,溶質とフラックスが化学反応して生じた化合物の結晶である。この単結晶は,無色透明で自形をもち,高品質であった。この単結晶の育成については,今まで水熱法による2報があるけれども,フラックス法による報告は全くない。この単結晶がどのような物性をもち,単結晶材料としてどのような応用があるのか興味深い。
|