1990 Fiscal Year Annual Research Report
多量の無秩序分布酸素欠陥を含むペロブスカイト型酸化物の合成とイオン導電性
Project/Area Number |
02650559
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
武田 保雄 三重大学, 工学部, 助教授 (60093051)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今西 誠之 三重大学, 工学部, 助手 (20223331)
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Keywords | 酸素欠損型ペロブスカイト / 酸化物イオン導電体 |
Research Abstract |
Sr_2AlScO_5は大きな酸素欠損を有するが、1500℃以上で焼成するとおどろくべき事に立方晶のペロブスカイト構造をとる事が分かった。透過電顕による電子回析ではマイクロドメインなどの形成はなく、完全に酸素欠損が無秩序配列したペロブスカイト構造であった。この酸化物は高温まで安定で反応性がとぼしく、もし高い酸化物イオン導電性があれば固体電解質として有用である。たしかに、その大きな無秩序酸素欠損量に対応して、1000℃で10^<ー4>Scmというかなり高い酸化物イオン導電性を示した。しかしながら、安定化ジルコニアに比べるとまだ3ケタ小さい値である。そこで欠陥量、格子サイズを変化させ高い導電性の達成をこころみた。ScとAlの比を変えSr_2Sc_<1+x>Al_<1ーx>O_5でx=0.2まで作成でき、導電率は5x10^<ー2>Scmと向上をみた。6配位指向のScが多い程、無秩序欠陥構造がより安定化される様である。又、Alのかわりに2価のMgを置換して酸素欠損量を増加させるとさらに導電率の向上がみられた。たとえばSr_2Sc_<1.2>Al_<0.8ーx>Mg_xO_<5ーx/2>でx=0.2で2x10^<ー2>Scm(1000℃)となった。格子膨張の効果としてSrにBaの置換を試みた。Sr_<2(1ーx)>Ba_<2x>ScAlO_5でx=0.2まで固溶にが得られ、導電率は10^<ー3>Scmとなった。格子は2%の増加にすぎなかったが導電率は1ケタの増加を見た。その他、種々の置換体の合成を試み検討を加えた結果、最終的にSr_<1.0>Ba_<0.2>Sc_<1.2>Al_<0.6>Mg_<0.2>O_<4.9>において1000℃で1x10^<ー2>Scmの最高値を示した。これは一番抵抗の低い安定化ジルコニアより1ケタ低い値である。しかしながらこの酸化物は難焼結性であり60%程度の焼結合体しか得られなかった。これは大きな難点の一つであるが、原料とプロセスさえ選べば解決出来る問題である。そうなればもっと導電率は上昇するはずであり安定化ジルコニアに必適する固体電解質となりうるであろう。
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