1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02650560
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
八尾 健 京都大学, 工学部, 助手 (50115953)
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Keywords | スピネル型構造 / 陽イオン分布 / 結晶構造解析 / EXAFS / X線回折 / フェライト / メスバウア-スペクトル / 計算機シミュレ-ション |
Research Abstract |
本年度において、EXAFSによるスピネル型結晶の陽イオン分布解析の手法をマンガン・亜鉛フェライト固溶体の陽イオン分布の解析に適用すると共に、メスバウア-スペクトル及び飽和磁化測定を行い、磁気的性質と陽イオン分布の関係について検討を加えた。マンガン・亜鉛フェライトは、高周波特性の優れた軟磁性材料として広く用いられている。飽和磁化等の磁気的性能は、その組成や作製条件によって変化する。固溶体の組成とその構造、及び磁気的性質の関係を明らかにすることは重要であるが、マンガン、亜鉛、鉄の原子番号が近いため、X線回析法により陽イオン分布を直接解析することは困難であり、陽イオン分布についての詳しい知見は得られていなかった。1200℃で種々の組成の固溶体を作成し、本学超強力X線回折実験質のEXAFS測定装置を用いて、亜鉛、鉄、マンガンのEXAFを測定し、陽イオン分布を求めた。また、飽和磁化及びメスバウア-スペクトルの測定を行った。マンガンスピネルでは、マンガンイオンがほぼ四面体サイトを占めた。亜鉛イオンは四面体サイトにマンガンイオンを置換するように配置した。イオン半径の大きい2価の陽イオンが四面体サイトを占めるときに、マ-デルングエネルギ-が最も低下すること、及び共有結合性による亜鉛イオンの四面体サイト優先性と良く合致する。磁化、及びメスバウア-スペクトルの測定結果は、EXAFSから測定された陽イオン分布と矛盾しないものであった。 静電エネルギ-、結晶場エネルギ-、及び分極エネルギ-が、スピネル型結晶の陽イオン分布を決定する主な要因である。今後、計算機シミュレ-ションを行い、実験的には尽くしきれない種々の場合における状態の精密な予測を可能とする。
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