1990 Fiscal Year Annual Research Report
新規エレクトロニクス材料としてのナフタロシアニン錯体の検討
Project/Area Number |
02650590
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
志村 美知子 東京都立大学, 工学部電気工学科, 助教授 (60087294)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志村 幸雄 関東学院大学, 工学部工業化学科, 教授 (00162727)
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Keywords | Naphthalocyanine / Electrochromism / OxygenーReduction / Dissolved Oxygen Detector |
Research Abstract |
金属ナフタロシアニン(MNcと略す、本研究ではM=Mg,Co,Fe,Cu,Ni)を合成し精製後、真空蒸着法(3×10ー5torr以下)によって薄膜化(基板はガラス板またはNESAガラス)して以下の実験に供した。得られた結果を要約すると以下の通りである。 (1)MgNc薄膜の熱処理による可視スペクトルならびに導電率の変化 MgNc蒸着膜に固有なQバンドの2つの吸収極大(波長:780,700nm)は、薄膜X線回折により、780nmはamorphous MgNc、700nmは結晶性MgNcによることを明らかにした。DSC熱分析結果によりamorphous MgNc薄膜の熱転移点は約220℃にあることを見出し、約220℃(真空中)で熱処理した薄膜は700nmにのみ吸収極大をもつスペクトルを示した。この熱処理により導電率(ガラス基板)が約2桁向上することを見出した。恐らく配位子のπ電子系が重なりを増したことによると考えられる。 (2)CoNc薄膜のカソ-ドエレクトロクロミズム CoNc薄膜電極(NESA基板)に対し微小電圧を印加すると(カソ-ディックおよびアノ-ディックの両方向において)、薄膜の色が変化することを見出した。カソ-ド分極の際にはGreenからRedへの変化が-0.8V以下で観察された。色の変化はFeNc薄膜でも観察(ただしGreen→Violet)されたが、NiNc,CuNc,MgNcでは観察されなかった。このようなカソ-ドエレクトロクロミズムは、カソ-ド分極により還元された中心金属(この場合Co+)と配位子Ncとの間でMLCT(Metal Ligand Charge Transfer)が起こることによると考えられた。 (3)CoNcのカソ-ドエレクトロクロミズムを利用した微量酸素の定量液中に酸素が溶存する状態ではカソ-ドエレクトロクロミズムが生じない点に着目して微量酸素の定量法を検討した。 MNc薄膜はメモリ-材料または表示材料として極めて有望である。
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[Publications] 志村 美知子、佐藤 潔、出沼 剛、志村 幸雄: "コバルトナフタロシアニン薄膜のカソ-ドエレクトロクロミズム" 表面技術. 41. 938-939 (1990)
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[Publications] 志村 美知子、奥村 次徳、小沢 欣一、志村 幸雄: "コバルトナフタロシアニンのカソ-ドエレクトロクロミズムを利用した溶存酸素の定量" 表面技術. 42,2月号. (1991)