1991 Fiscal Year Annual Research Report
新規エレクトロニクス材料としてのナフタロシアニン錯体の検討
Project/Area Number |
02650590
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
志村 美知子 東京都立大学, 工学部, 助教授 (60087294)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志村 幸雄 関東学院大学, 工学部, 教授 (00162727)
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Keywords | Naphthalocyanine / Electrochromism / Oxygen detector / Organic semiconductor / Electrochemical catalyst |
Research Abstract |
機能性色素として知られる金属ナフタロシアニン錯体(MPc)のπ電子系を広げた金属ナフタロシアニン錯体(MNC M:Co,Ni,Fe,Cu)を合成し、真空蒸着法によって薄膜化し、電極とした。 MNc薄膜電極のエレクトロクロミズム挙動、酸素還元挙動、光電変換挙動を調べた。その結果次のことが明かとなった。 (1)MNcは、中心金属の種類によっては、エレクトロクロミズムを示す。エレクトロクロミズムを起こす中心金属はCo,Feであり、示さないのはCu,Niであった。 (2)(1)のエレクトロクロミズムは、酸素の存在下では起きない。 (3)(2)を利用して、MNcの色の変化から液中の容存酸素濃度を視覚によって知ることができる。 (4)MNcは、酸素の4電子還元触媒として作用する。 (5)MNc薄膜電極は、MPc電極と異なって、通常、光電変換能をほとんど示さない。しかし蒸着直後についてはわずかながら示す。整流性は経時変化をもって劣化する。 (6)MNc薄膜の抵抗率は、van der Pauw法により求めた値(薄膜表面方向)と膜厚方向に求めた値とで約3桁異なる。抵抗率には異方性が見られる。これはMNc薄膜への酸素吸着効果が寄与していると考えられる。 (7)MNcは、脱酸素の状態でのみ、蛍光を発する。酸素の存在下ではMNcの励起電子が酸素側へ流れやすく、光電変換を示さないと推定される。 以上の結果より、MNcの物性は酸素吸着によって著しく変化するものであることがわかった。
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[Publications] 志村 美知子,佐藤 潔,出沼 剛,志村 幸雄: "コバルトナフタロシアニン薄膜のカソ-ドエレクトロクロミズム" 表面技術. 41. 938-939 (1990)
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[Publications] 志村 美知子,奥村 次徳,小沢 欣一,志村 幸雄: "コバルトナフタロシアニンのエレクトロクロミズムを利用した微量酸素の定量" 表面技術. 42. 260-261 (1991)