1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02650592
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
瀬川 幸一 上智大学, 理工学部, 助教授 (60053675)
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Keywords | ホスホン酸ジルコニウム / 層状化合物 / 固体MASNMR / エステル化反応 / 形状選択性 |
Research Abstract |
ホスホン酸ジルコニウムは組成式Zr(O_3PーR)_2で示され、層状構造を有している。ジルコニウム層の上下に種々の性質をもった官能基ーRを保持させることにより、ーRの大きさに応じて層間距離を制御することが可能である。本年度は、官能基としてーC_6H_<13>,ーC_<12>H_<25>,ーCH_2SO_3H,ーCH_2COOHなどを層間に持つホスホン酸ジルコニウム誘導体を合成し、その構造解析と触媒機能の検討を行った。層間に異なる性質を持つ官能基を2種導入した複合体では、直鎖アルキル基で層間距離を拡大して疎水環境を向上させると共に、スルホメチル基のような酸性基を導入することによって酸性質を保持させることが可能である。官能基としてドデシル基及びスルホメチル基を層間に有した複合体では、層間がかさ高いドデシル基によって保持され、広い層空間の中にスルホメチル基が存在していることが、XRD及び固体MASNMRの測定結果より明らかになった。官能基の持っている性質は層間内にあっても機能し、層間で全てのイオン交換点が機能することが分かった。この複合体の触媒機能を検討するため、モデル反応として酢酸のエステル化反応を行ったところ、複合化によって反応活性は著しく向上し2種の官能基が1:1の割合で導入された複合体が最も高活性を示した。また、層間を炭化水素で架橋し酸性基を導入したピラ-複合体では、架橋することによってさらに反応場が規則正しく区画されるために形状選択性が発現すると考えられる。そこで、かさ高さの異なるカルボン酸を混合した系でエステル化を行ったところ、かさ高いカルボン酸の反応は抑制され、かさ高くない方のカルボン酸が選択的にエステル化されることが明らかになった。これらの結果はホスホン酸ジルコニウム誘導体を機能材料として利用する上での可能性を示唆するものである。
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Research Products
(1 results)