1990 Fiscal Year Annual Research Report
水素分離型メンブレンリアクタ-を用いる新しい脱水素反応方式の研究
Project/Area Number |
02650594
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
菊地 英一 早稲田大学, 理工学部, 教授 (90063734)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 宏行 早稲田大学, 理工学部, 助手 (00213083)
松田 剛 早稲田大学, 理工学部, 講師 (10199804)
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Keywords | パラジウム / 無機多孔質膜 / 複合膜 / メンブレンリアクタ- / 水素 / プロパン / エチルベンゼン / 脱水素 |
Research Abstract |
多孔質アルミナの表面上にパラジウム薄膜を担持した複合膜は選択的に水素を透過し、実用化されているパラジウム膜に比べて10倍以上の大きな透過速度をあたえる。この複合膜を分離膜として組み込んだメンブレンリアクタ-のエチルベンゼン及びプロパンの脱水素反応への適用性について検討した。本反応は吸熱反応であるため、十分高い転化率を得るためには熱力学的に高い反応温度が必要である。しかし、メンブレンリアクタ-を用いると生成した水素が反応系外に除去されるため、従来の反応形式に比べて高い転化率が得られ、反応条件の緩和が可能であることがわかった。また、生成した水素を除去することにより、副反応である水素化分解が抑制され、スチレンやプロピレン選択率が向上することを見いだした。 さらに、プロパンの脱水素環化反応への適用性について検討した。特異な固体酸性と形状選択性を有するZSMー5ゼオライトとGa,Zn,Ptを組み合わせた触媒が本反応に高い活性と選択性を示すことが見いだされている。しかし、併発する分解反応によりメタンやエタンなどが生成するので芳香族収率には限界がある。この反応にパラジウム薄膜を用いたメンブレンリアクタ-を適用したところ、プロパンからプロピレンへの脱水素が優先的におこり、これまでにない高い芳香族収率(約80%)が得られることを明らかにした。 以上のように、メンブレンリアクタ-を使用すると反応効率が向上するだけでなく、反応の選択性も増大することを実証した。
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[Publications] 菊地 英一: "パラジウムの水素選択透過を利用したメンブレンリアクタ-" ケミカル・エンジニヤリング. 287-291 (1990)
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[Publications] 上宮 成之: "無電解めっき法によるパラジウム薄膜の調製" 日本化学会誌. 669-675 (1990)
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[Publications] Shigeyuki Uemiya: "Aromatization of Propane Assisted by Palladium Membrane Reactor" Chemistry Letters. 1335-1338 (1990)
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[Publications] Shigeyuki Uemiya: "Promotion of Methane Steam Reforming by Use of Palladium Membrane" Sekiyu Gakkaishi. 33. 418-421 (1990)
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[Publications] Shigeyuki Uemiya: "Steam Reforming of Methane in a Hydrogenーpermeable Membrane Reactor" Applied Catalysis. 67. 223-230 (1991)
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[Publications] Shigeyuki Uemiya: "Separation of Hydrogen through Palladium Thin Film Supported on a Porous Glass Tube" Journal of Membrane Science. (1991)
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[Publications] 菊地 英一(国眼 孝雄編): "第II部第1章第3節 パラジウム/多孔質ガラス複合膜を用いたメンブレンリアクタ-(メンブレンリアクタ-応用ハンドブック)(内7p)" サイエンスフォ-ラム, 333 (1990)