1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02650605
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
融 健 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (00163957)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 良彦 名古屋大学, 工学部, 助手 (70220944)
植野 禎夫 名古屋大学, 工学部, 教授 (70024297)
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Keywords | ラジカル / スズエノラ-ト / ジカルボニル / 新合成法 / 光反応 |
Research Abstract |
ラジカル中間体を経由する炭素一炭素結合反応は、イオン反応にはない特徴を有している。例えば、中性条件化での反応、水酸基などの保護基が不必要、位置特異的反応などの特徴を有している。これまで私達は、カルボニル基のαー炭素ラジカルがアリルスズに極めて高い反応性を示し、高効率的にαーアリル体を与えることを見いだしてきた。本研究では、αーセレノカルボニル化合物とスズエノラ-トとの反応を検討し、1、4ージカルボニル化合物が高収率で得られることを見いだした。シクロヘキサノンエノ-ルアセタ-トとメトキシトリブチルスズとから誘導したトリブチルスズエノラ-トと2ーフェニルセレノアセトンとを光照射すると収率76%で2ーアセトニルシクロヘキサノンが得られた。このスズエノラ-トは全てエノラ-ト型で存在しているが、アセトンエノ-ルアセタ-トから合成したものはほとんどケト型で存在する。興味深いことに、ケト型のアセトニルトリブチルスズとαーフェニルセレノシクロペンタノンとの光照射によっても2ーアセトニルシクロペンタノンが82%の高収率で得られた。これは光照射条件でケト型から異性化して生じたスズエノラ-トとαー炭素ラジカルが反応し、ついでスズラジカルがβー脱離してアセトニル化生成物が生成したと説明できる。アセトニルスズはこのほか、フェニルセレノ-酢酸メチル(81%)、ーアセトフェノン(80%)、ーシクロヘキサノン(71%)、ーシクロヘプタノン(81%)、ーγーブチロラクトン(80%)、ーδーバレロラクトン(50%)、ーアセトン(81%)、ージメチルマロナ-ト(50%)などと反応し、対応する1、4ージカルボニル化合物を高収率(カッコ内)で与えた。フェナシルスズも各種αーセレノカルボニル化合物と反応した。本研究により、スズエノラ-トあるいはそのケト型化合物を用いて1、4ージカルボニル化合物の新しい合成法に到達した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 渡部 良彦: "Raclical Reaction of Acetonyltributylstannane with αー(phenylseleno)carbonyl Compounds:A Novel Procedure for Preparation of 1,4ーDicarbonyl Compounds." Tetraheolron Lett.31. 6669-6672 (1990)
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[Publications] 融 健: "A Novel Synthesis of 1,4ーDicarbonyl Compounds via Radical Reaction of Organostannyl Enolates with αーPhenylseleno carbonyl Compounds." J.Chem.Soc.,Perkin Trans.l.