1990 Fiscal Year Annual Research Report
高配位ケイ素を中間体とする分子内転位反応の開拓とその有機合成への応用
Project/Area Number |
02650624
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大嶌 幸一郎 京都大学, 工学部, 助教授 (00111922)
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Keywords | シラシクロブタン / シラシクロペンタン / 転位反応 / 1,4ージオ-ル / 4ーアルケンー1ーオ-ル / 高配位ケイ素 |
Research Abstract |
交付申請書に記載の計画に従い研究を行い次の成果を得た。 1.(トリメチルシリル)メチルアリルスルフィドのnーBuLiによる転位反応について検討した。3ートリメチルシリルメチルチオー1ープロペンに,nーBuLiを作用させ生成する炭素陰イオンに対してヨウ化メチルを反応させると1ーメチルチオー4ートリメチルシリルー1ーブテンが得られる。一方1ートリメチルシリルメチルチオー2ーブテンを基質としてnーBuLiつづいてヨウ化メチルで処理すると3ーメチルー4ーメチルチオー1ートリメチルシリルー1ーブテンが得られることを見いだした。反応は5配位ケイ素中間体を経て進行するものと考えている(研究発表1)。 2.1,1ージメチルー1ーシラシクロブタンにリチウムカルベノイド(LiCHI_2,LiCHBr_2,LiCHBrPh等)を作用させるとシラシクロペンタンへの環拡大反応が収率よく進行する。ケイ素上の置換基をジメチルからジフェニルに代えても反応は同様に進行する。さらに4員環上の炭素に置換基をもつ基質では反応が立体選択的に進行することが明らかとなった。たとえばジヨ-ドメタンと1,1,3ートリメチルー1ーシラシクロブタンとの反応では,2ーヨ-ドー4ーメチルー1ーシラシクロペンタンのシス体とトランス体が9:1の比で生成した(研究発表2)。 3.1,1ージメチルー1ーシラシクロブタンは触媒量のカリウム第三級ブトキシドの存在下にベンズアルデヒドと反応して6員環シリルエ-テルであるオキサシラシクロヘキサン誘導体を収率よく与えることが明らかとなった。ベンゾシラシクロブテンや2ーフェニルー1,1ージメチルー1ーシラシクロブタンとベンズアルデヒドとの反応では2つのCーSi結合のうち一方だけが選択的に切れた生成物を与える。これらの生成物は酸化的にCーSi結合を切断して容易に1,4ージオ-ルへ導くことができる。エポキシドとの反応では4ーアルケンー1ーオ-ルを得るこができる(研究発表3)。
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[Publications] K.Miura: "Rearrangement of 3ー(Trimethylsilylmethylthio)allylーlithium" Bull.Chem.Soc.Jpn.,. 63. 2584-2587 (1990)
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[Publications] K.Matsumoto: "Stereoselective Formation of Silacyclopentanes by the Reaction of Silacyclobutane with Lithium Carbenoids" Tetrahedron Lett.,. 31. 6055-6058 (1990)
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[Publications] Y.Takeyama: "Base Induced Reaction of Silacyclobutane with Aldehyde or Epoxide" Tetrahedron Lett.,. 31. 6059-6062 (1990)