1991 Fiscal Year Annual Research Report
ア-ト型カルベノイドを経由する連続的炭素鎖導入反応の開発
Project/Area Number |
02650626
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
原田 俊郎 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (30135628)
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Keywords | カルベノイド / 亜鉛ア-ト錯体 / ハロゲン金属交換反応 / カップリング反応 / パラジウム触媒 |
Research Abstract |
αハロゲン置換有機リチウム化合物をはじめとする典型元素カルベノイドでは中心元素がかなり電子欠損の状態にあり、求電子的反応性が期待できる。この求電子的反応性に注目すれば、カルベノイドは「α金属置換炭素陽イオン等価体」ともに見なすことができ、炭素求核剤との反応は炭素鎖導入を伴った有機金属化合物の発生法として有効であると考えられる。本研究では特に典型元素ア-ト形カルベノイドに注目し、その求電子的反応性を系管的に探査することにより、カルベノイドからの新形式の有機金属化合物の発生法を確立すると同時に、このように発生させた有機金属化合物の反応性を利用した連続的炭素・炭素結合形成反応の開発をめざした。 (1)分子内アルキル化反応により発生する有機亜鉛化合物の有機合成への利用: 前年度に開発したgemージハロ化合物とトリアルキル亜鉛ア-ト錯体との反応を利用し、反応系中に発生する有機亜鉛化合物と各種の求電子剤とのカップリング反応を検討した。その結果、触媒量の0価パラジウムホスフィン錯体を用いることにより、アシルクロリド、ブロモアルケン、さらにはアリ-ルブロミドとの反応が効率的に進行し、対応するカップリング生成物が高収率で得られることがわかった。 (2)1,1ージブロモアルカンからの亜鉛ア-ト型カルベノイドの発生と反応:分子内にエ-テル性の官能基結合を持つジブロモアルカンを数種合成しトリアルキル亜鉛ア-ト錯体との反応を検討した。その結果、本反応により分子内に酸素官能基をもつ有機亜鉛化合物が容易に合成できること、さらにこの有機亜鉛化合物が各種の求電子剤と効率的なカップリング反応を起こすことを見いだした。
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