Research Abstract |
2,6ージメトキシベンゼンチオ-ル(2,6)SH[(2,6)=2,6ー(MeO)_2C_6H_3]はチオ-ル特有の悪臭のない空気中で安定な結晶性化合物である。その合成は、エ-テル中で1,3ー(MeO)_2C_6H_4とnーBuLiのnーヘキサン溶液の長時間の反応で得られる(2,6)Liとイオウの反応で得ていた。しかし、エ-テルを用いずともnーヘキサン中でMe_2NCH_2CH_2NMe_2を触媒量存在させれば1時間程で(2,6)Liが得られることが分り(2,6)SHの合成が一層容易になった。この各種の誘導体[(2,6)SS(2,6),(2,6)S(2,6),(2,6)SCH_2CH_2S(2,6)他]を合成したところいずれも通常のフェニル化合物より結晶性に優ぐれていることが分った。(2,6)SCH_2CH_2S(2,6)はAgClO_4と3:2錯体を形成すること、このXー線結晶解析から(2,6)SCH_2CH_2S(2,6)配位子がイオウのみならずメトキシ基の酸素も配位に関与し、Ag^+イオンが珍しい6配位3角プリズム構造をとっていることなども分った。(2,6)S(2,6)はAgClO_4と2:1錯体を形成する。 また、(2,6)LiはTHF中でもセレンとは反応しないが、塩化リチウムが存在すると反応して(2,6)SeHが得られることも分った。 ^1H nmrにはSeHプロトンのピ-ク(2.02ppm)と ^<77>Seによるカップリング(68Hz)が観測され、IRスペクトルには2320cm^<ー1>にSeーHの吸収が観測された。(2,6)SeHも悪臭のない結晶性化合物であるが空気により容易に酸化されて(2,6)SeSe(2,6)になる。同様に、THF中、(2,6)Liは塩化リチウムの存在で金属テルルとも反応して(2,6)TeHを生成した。 ^1H nmrにはTeーHプロトンピ-ク(ー2.06ppm)と ^<127>Teとのカップリング(14Hz)が観測された。IRでは恐らく初めてTeーHの吸収(2060cm^<ー1>)を観測をすることができた。(2,6)TeHは室温付近に融点を持ち、空気によりさらに容易に酸化され易く、(2,6)TeTe(2,6)になる。
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