1990 Fiscal Year Annual Research Report
Pd(II)化合物の一電子酸化能を利用した不斉誘起反応の開発研究
Project/Area Number |
02650632
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
榊原 邁 鹿児島大学, 教養部, 教授 (70029148)
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Keywords | 縮合型複素環化合物 / 一電子酸化 / ラジカルカチオン / 立体選択的合成 |
Research Abstract |
窒素や酸素を含む縮合型複素環化合物は、生理活性を持つ物質が多く薬理学的にも重要な化合物が多く、既知の合成法も数多い。しかしながら、縮合環系における結合部位の光学異性体を立体選択的に合成する方法は極めて少ない。報告者らはすでに三級アリ-ルジアルキルアミン類が、Pd(II)化合物によって一電子酸化を受けてラジカルカチオン中間体、更にイミノニウムイオン中間体を形成し、自ら二重化するかまたは、電子供与性オレフィンと反応して、天然の薬理活性物質の類緑体である複素三環性または四環性化合物を位置選択的、立体選択的に与えることを見いだし報告している。そこで本研究では、N,Nージメチルアニリン類及びNーアリ-ルピロリジン類を反応基質とし、これらの電子吸引性オレフィンとの反応性及び二量化反応における立体選択性、さらには不斉源存在下での生成物のエナンチオマ-選択性について検討を加えた。その結果、下記に示すような新しい知見を得た。 1.N,Nージメチルアニリン類およびNーアリ-ルピロリジン類はいずれも、Nー置換マレイミドと反応し好収率で立体選択的にシス融着した環化付加物を与えた。 2.特に、Nーアリ-ルピロリジン類は、シン型付加物及びアンチ型付加物の両者を生成した。 3.Nーアリ-ルピロリジン類の二量化反応においても、シン型及びアンチ型環化二量化物を生成するが、シン型付加物は、反応条件下でアンチ型付加物に異性化することが明らかにされた。 4.若干の光学活性体の存在下でのNーアリ-ルピロリジン類の二量化反応が試みられた。その結果、Lー乳酸の存在下では、約5%程度の光学収率でエナンチオマ-過剰のアンチ型二量化生成物を得た。
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Research Products
(1 results)