1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02650633
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
大勝 靖一 工学院大学, 工学部, 教授 (20011009)
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Keywords | ヘモグロビンモデル / アトロ-プ異性体 / ラセミ化 / アミド交換反応 |
Research Abstract |
ヘモグロビンはヘムとグロビン蛋白質からなる。この蛋白質部分はヘムを内包し,それに疎水性の場と立体障害を与え,全体としてヘムに安定な酸素運般機能を付与しかつヘモグロビンを水溶性にする働きをしている。現在公表されているモデルはヘモグロビンの機能のいくつかを欠いており,本研究ではこの欠点を克服したヘモグロビンモデルをデザインした。以下本年度に達成された成果を記述する。 1)アトロ-プ異性体の合成と分離 oーシアノベンズアルデヒドとピロ-ルからテトラ(oーシアノフェニル)ポルフィリンを合成した。当初この段階でααββまたはαβαβーアトロ-プ異性体の分離を行ない,この加水分解によりシアノ基がカルボキシル基又はその酸アミド基に転化されたポルフィリンを合成した。しかしこの経路では加水分解の段階でラセミ化が起こり,意図するアトロ-プ異性体が得られなかった。このラセミ化は,加水分解後にアトロ-プ異性体の分離を行うことで解決できた。なお加水分解反応では,シアノ基が酸アミド基に転化された。 2)アトロ-プ異性体のアミド交換反応 1)で合成したアトロ-プ異性体の酸アミド基に,各種アミノ酸およびジアミン(ネオペンチルジアミン)の導入を試みた。この時温度を35〜40℃に保ちながら三弗化ホウ素エ-テラ-トを触媒とすると,ラセミ化が全然起こらずに所期の反応の進行することがわかった。 3)金属ポルフィリン錯体の合成 2)で合成したアミド化アトロ-プ異性体にFeを導入した。この反応に関しては過去にいくつかの方法が知られているが、本研究で合成したポルフィリンの場合には無水臭化第一鉄ー2,6ールチジンを用いる方法が最適であった。
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