1990 Fiscal Year Annual Research Report
パラジウム触媒による高選択性還元反応とその含窒素生理活性物質合成への応用
Project/Area Number |
02650634
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
清水 功雄 早稲田大学, 理工学部, 助教授 (50134820)
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Keywords | πーアリルパラジウム錯体 / ギ酸還元 / パラジウム触媒 / (-)ーヌファラミン / (-)ーセリユルニン / アルアニルオキシラン |
Research Abstract |
本年度の研究目標であった光学活性ピペリジンアルカロイド、(-)ーヌファラミンの合成が完了した。また本合成の鍵反応として利用されたパラジウム触媒ーギ酸系の反応における重要中間体として想定されていたギ酸πーアリルパラジウム錯体の合成にも成功した。ヌファラミンの合成では、研究計画に示したとうり、光学活性なアルケニルオキシランをパラジウム触媒存在下でギ酸を用いて反応させたところ、オキシランの還元開裂が立体選択的に進行し、光学活性なホモアリルアルコ-ルが得られた。この化合物の水酸基をアジド基に立体反転で変換し、その後トリフェニルホスフィンと反応させ分子内アザウィラィッヒ反応させることによりピペリジン環を形成させた。二重結合の水素化および保護基の除去を行ない、(-)ーヌファラミンが得られた。この他、同様なアルケニルオキシランの還元開裂反応を利用して、光学活性昆虫フェロモン、(-)ーセリコルニンの合成にも成功した。ギ酸πーアリルパラジウム錯体の合成では、πーアリルパラジウム(II)クロリドモノホスフィン錯体をギ酸銀と反応させたところ、モノホスフィンギ酸πーアリルパラジウム錯体が得られた。一方、ジホスフィンパラジウム(0)スチレン錯体とギ酸アリルとの反応ではイオン型のギ酸πーアリルパラジウムジホスフィン錯体が合成された。これらの錯体の分解を詳細に観察したところ、それぞれ、脱炭酸反応が進行し、オレフィンの生成が確認された。さらに中性のモノホスフィン錯体からは、脱炭酸反応が位置選択的に進行していることをつきとめた。これまでパラジウム触媒ーギ酸系による末端のアリル型化合物の反応では1ーオレフィンが主として得られていたが、本研究によりこの反応機構が解明された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] ISAO SHIMIZU: "Chiral Synthesis of (-)ーNupharamine" CHEMISTRY LETTERS. 777-778 (1990)
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[Publications] ISAO SHIMIZU: "Synthesis of Vitamin D_3 DーRing Synthons by Reductive Cleavage of Norbornanー6ーoneー2ーcarboxylates" TETRAHEDRON LETTERS. 31. 4809-4902 (1990)
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[Publications] ISAO SHIMIZU: "A Short Stereoselective Synthesis of (-)ーSerricornin" TETRAHEDRON LETTERS. 31. 4757-4758 (1990)
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[Publications] ISAO SHIMIZU: "Facile Synthesis of Serricornin by means of Palladium Catalyzed Hydrogenolysis of Alkenyloxiranes" TETRAHEDRON. 47. (1991)
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[Publications] Masato Oshima: "Synthesis and Properties of πーAllylpalladium Formates as Intermediates in PalladiumーCatalyzed Reductive Cleavage of Allylie Acetates and Carbonates with Formic Acid" ORGANOMETALLICS. 10. (1991)
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[Publications] Yasuo Wakatsuki: "Novel Regioselection in Insertion of a 1.4ーDisubstitutedー1,3ーenyne into RutheniumーHydrogen Bonds" J.Chem.Soc.,Chem.Commun.261-263 (1991)