1990 Fiscal Year Annual Research Report
一次元包接重合における高度不斉誘導と高安定生長ラジカル
Project/Area Number |
02650665
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
宮田 幹二 岐阜大学, 工学部, 助教授 (90029322)
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Keywords | 包接重合 / 分子レベル空間 / 空間効果 / 高安定生長ラジカル / 不斉誘導 / ホスト設計 / 分子グラフィックス / 分子運動 |
Research Abstract |
我々は一次元包接重合の概念を確立するとともに、この系においては重合反応に対して「空間効果」が明瞭に現われてくることを示した。従って一次元包接重合は分子レベル空間での一般的重合法の一つであり従来の溶液あるいは塊状重合はマクロレベル空間での重合と考えられる。 この分子レベル空間での重合においては、空間を形成するホスト分子の集合体をいかに設計するかが重要なポイントである。今まで、デオキシコ-ル酸・アポコ-ル酸の対となっているホストを用いてきたが、これらの誘導体も同様に分子レベル空間を提供し得るかを検討した。具体的には酸アミド、エステル、あるいはコ-ル酸の誘導体を合成し、それらの包接能を探索した。この実験において本補助金により購入した液体クロマトグラフは非常に役立った。これらの誘導体の中で一部のものは包接重合においても使えそうな包接能を示した。 ホストの設計・合成と平行して、従来より用いているデオキシコ-ル酸・アポコ-ル酸についても、さらに実験結果の解析を進めている。高安定成長ラジカルがどのようなホスト・ゲストの組合せで生じるのか、またどの程度安定なのか、生長ラジカルにならずモノマ-ラジカルでとどまるのは、どのような場合か、など、分子レベル空間での分子運動の解析により説明され得ることがかなり明らかになってきた。 分子レベル空間での反応は規則的に進むが、不斉誘導がどの程度おこるかについての解析はかなり困難である。生成高分子のオゾン分解等により、解析を進めている段階である。近年、分子グラフィックスが普及してパソコンでも行えるようになってきた。この手法を用いて、分子レベル空間での反応解析にも着手している。反応の立体規則性、不斉誘導について、何らかの合理的説明をこの手法により得られるものと確信してさらに研究を進めている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 宮田 幹二: "一次元包接重合ー重合反応の次元性ー" Polymer Preprints,Japan. 39. 1748-1750 (1990)
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[Publications] 佐田 和己: "胆汁酸ステロイドの分子構造と分子集合様式" Polymer Preprints,Japan. 39. 2802-2804 (1990)
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[Publications] 中瀬 広清: "ホストチャンネルの大きさに応じた重合可能なモノマ-の範囲" Polymer Preprints,Japan. 39. 126 (1990)
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[Publications] 宮田 幹二: "重合反応空間の解析" Polymer Prints,Japan.
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[Publications] 堤 宏守: "Inclusion Polymerization of 1ーChlorobutadicne in a Deoxycholic Acid Canal" Journal of Polymer Science,Polymer Chemistry. 28. 1527-1538 (1990)
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[Publications] 竹本 喜一: "Polymerization of Diene and Diyne Monomers in a Deoxycholic Acid and Apocholic Inclusion Compounds" Mol.Cryst.Lig.Cryst.186. 185-195 (1990)