1990 Fiscal Year Annual Research Report
分泌ベクタ-保有大腸菌による異種遺伝子産物の菌体外分泌生産の培養工学的研究
Project/Area Number |
02650711
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山根 恒夫 名古屋大学, 農学部, 教授 (70026102)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀越 弘毅 東京工業大学, 工学部, 教授 (80087551)
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Keywords | 分泌ベクタ- / 大腸菌 / βーペニシリナ-ゼ / 自動流加培養法 / 濁度センサ- / 遺伝子組換え菌 / tacプロモ-タ- / kil遺伝子 |
Research Abstract |
1.分泌生産に及ぼす炭素源流加の影響(分担者 山根恒夫) 分泌ベクタ-保有大腸菌による好アルカリ性菌由来のペニシリナ-ゼの分泌生産に及ぼす培地組成および培養条件を調べた。グルコ-スと無機塩とからなる合成培地では、ほとんど分泌されないが、LB培地ではよく分泌され、さらにLB培地に種々の炭素源を加えた場合、グリセロ-ルが好成績を与えた。そして、しんとう培養による回分実験より、グリセロ-ル濃度が高いと分泌しにくくなり、それだけ菌体濃度が高くなるが、一方、グリセロ-ル濃度が低すぎると分泌しやすくなるが溶菌も起こることが分かった。そこで、5lの培養槽を用い、濁度センサ-で菌体濃度を連続的に測定し、これと培養液量とから菌体総量を算出し、比グリセロ-ル供給速度qsf 〔g・(gDC)^<ー1>・h^<ー1>〕を種々変える方式の自動流加法を実施した。培養は、まずLB培地の3倍濃度でqsf=0.22によって約20g/lまで菌体濃度を高めて、しかる後、qsf=0.05〜0.20まで種々変えて分泌生産への影響を調べたところ、qsf=0.12の時、菌体外の酵素活性は培養開始後27時間後に700V/mlとなり、これは通常の回分培養の約7倍であった。この2段階培養法の後半期では、菌体濃度は20〔g/l〕から25〔g/l〕へと微増に抑えられた。また、培養前半期ではグリセロ-ルはほぼ0.2%に維持され、後半期では検出できないほど低い値(30ppm以下)であった。分泌率(総生産量のうち菌体外へと分泌された量の割合)は85ー90%であった。 2.分泌ベクタ-の改良(分担者 堀越弘毅) 菌体外分泌ベクタ-に於ける異種遺伝子の発現強化を目指してペニシリナ-ゼ遺伝子のプロモ-タ-部位にtacプロモ-タ-の導入を行ない、更に人成長ホルモン遺伝子をこのベクタ-に導入してその分泌発現におよぼす影響を調べた。また、成熟型kilペプチドを化学合成した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Takahiro SUZUKI: "Phenomenological Background and Some Prelimirary Trials of automated Substrate Supply in pHーstat modal Fedーbatch Culture Using a Setpoint of High Limit" Journal of Fermentation and Biotechnology. 69. 292-297 (1990)
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[Publications] 山根 恒夫: "生物反応工学(改訂版)" 産業図書株式会社, 200 (1991)