1990 Fiscal Year Annual Research Report
放線菌における新規潜在性抗生物質の効率的誘発生産法の開発
Project/Area Number |
02650713
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
今中 忠行 大阪大学, 工学部, 教授 (30029219)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 昌宏 大阪大学, 工学部, 助手 (00183434)
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Keywords | 放線菌 / Streptomyces griseus / 抗生物質 / グリセオケリン / 遺伝子工学 / 遺伝子クロ-ニング |
Research Abstract |
放線菌は、現在までに知られている約6000種の抗生物質の過半数を生産する醗酵工業上重要な菌群である。しかし、新規抗生物質のスクリ-ニングは多くの研究者によって長年続けられているが、通常の方法ではこれ以上、新物質の発見は困難だと一般に考えられている。そこで、遺伝子工学的手法を導入することにより、放線菌における潜在性新規抗生物質の効率的誘発生産を試みると共に、その一般性を検討するのが本研究の目的である。 得られた結果を要約すると (1)ストレプトマイシン生産菌Streptomyces griseus ATCO10137を変異処理することにより、ストレプトマイシン生合成系酵素(アミジノトランスフェラ-ゼ)欠損変異株SD141株を得た。これを宿主とし、ATCC10137株をDNA供与体、pOA15をベクタ-としてショットガンクロ-ニングを行った。その際当該酵素活性を回復せずに抗菌活性を示す様になったクロ-ンを5個(A,B,C,D,E)取得した。 (2)5個のクロ-ンより得た組換えプラスミドの大きさ、制限酵素地図を検討したところ、いずれも異っていた為これらの詳細な地図を作った。 (3)各クロ-ンの生産する抗生物質について抗菌スペクトルを作成した。特に生産性の高クロ-ンAはBacillus属細菌に抗菌活性を示すが大腸菌には効果がなかった。 (4)クロ-ンAの生産する抗生物質を精製し、その特性を調べた。その結果、当抗生物質は分子量568(C_<33>H_<60>O_7)のグリセオケリンであることが判明した。本抗生物質は疎水性に富み、2量体を形成して、イオノフォアとして作用すると考えられる。
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