1991 Fiscal Year Annual Research Report
アブサイシン酸による体細胞胚の乾燥低抗性の獲得とその機構解明及び人工種子への応用
Project/Area Number |
02660002
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
高畑 義人 岩手大学, 農学部, 助教授 (10133894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海妻 矩彦 岩手大学, 農学部, 教授 (00003773)
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Keywords | 花粉培養 / 不定胚 / アブサイシン酸 / 人工種子 / 乾燥耐性 / Brassica / タンパク質 |
Research Abstract |
ブロッコリ-の小胞子由来胚がABAにより乾燥抵抗性を獲得することは平成2年度に報告した。この現象が一般的なものであるかどうかを確認するため白菜4系統(Springtime,His Fu Early 30 Days,Formosa 45 Days,Homei)の小胞子由来胚を用いて調査したところ、ブロッコリ-と同様にABA処理により不定胚は乾燥抵抗性を獲得した。系統により若干の差はあったが、4系統とも似たような結果を示した。すなわち胚の乾燥抵抗性はABAの濃度と関係し、10^<ー5> ABA処理のとき最も高い乾燥抵抗性を獲得し、平均87%、最高100%の発芽率および平均38%、最高74%の植物体再生率を示した。また10^<ー6>,10^<ー4>M ABA処理でも抵抗性を獲得したが、10^<ー5>Mよりその効果は低かった。一方、ABA無処理の胚は乾燥処理によりすべて枯死した。乾燥胚から再生した植物体を非乾燥胚由来のものと比較したところ、両者の間で形態および倍数性に差異は認められなかった。 ABAによる乾燥抵抗性のメカニズム解明の手始めとして、胚のタンパク質をSDS電気泳動法で分析した。その結果、ABA処理した胚は種子貯蔵タンパク質と思われるタンパク質が増加していることが明らかとなった。このタンパン質の増加はABAの処理濃度と相関関係があり、ABAの濃度が高くなるほど増加していた。一方、乾燥抵抗性の獲得にあまり効果のなかった12.5%ソルビト-ル処理した胚でも同様のタンパク質の増加がみられたので、種子貯蔵タンパク質それ自体が乾燥抵抗性に直接関与しているとは考えにくいことが推察された。現在、二次元電泳動法によるタンパク質分析と核酸レベルでの研究を進行させている。
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