1990 Fiscal Year Annual Research Report
イネ矮性遺伝子の生理生化学的レベルにおける発現様式
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02660004
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
上島 脩志 神戸大学, 農学部, 助教授 (30031222)
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Keywords | イネ / 矮性遺伝子 / パ-オキシダ-ゼ / ジベレリン / IAA / リグニン |
Research Abstract |
本研究は,イネ矮性遺伝子が直接・間接に支配する生理・生化学的要因を明らかにすることを目的として行っている.今年度は,品種「しおかり」とこれを反復親として北海道大学で育成されたいくつかの矮性準同質遺伝子系統を用いて実験を行い,次のような結果を得た.1.ジベレリン(GA_3)と矮化剤(ウニコナゾ-ル)に対する第2葉鞘の伸長反応性および7葉期における体内ジベレリン様物質とIAA含量を調べたところ,いずれの形質においても系統間差異が認められた.また,いずれの系統もジベレリン処理によってIAA含量が高くなる傾向があった.2.幼苗第6葉および上位3節間について,それらの発育時期別にパ-オキシダ-ゼ,エステラ-ゼ,タンパク質を電気泳動法により分析したところ,いずれの器官でもそれらの電気泳動像は生育時期によって変化した.同一の生育時期で系統間の比較をすると,矮性系統のパ-オキシダ-ゼアイソザイムは正常系統より濃く現れる傾向があった.そこで,上位2節間においてパ-オキシダ-ゼの全活性を測定し,これと節間長との関係をみたところ,両者の間に有意な正の相関が認められた.3.ジベレリン処理個体及び無処理個体の第6葉について,タンパク質及び酵素の電気泳動像を比較した結果,特にパ-オキシダ-ゼでは特定のバンド活性がジベレリン処理によって変動し,その程度に系統間差異が認められた.4節間の細胞長が互いに異なる4種の同質遺伝子系統および品種「しおかり」の上位3節間について,節間乾物重当りのリグニン含量を出穂期から成熱期にわたって調べたところ,出穂期のリグニン含量と成熱期の節間細胞長との間には負の,また,成熱期のリグニン含量と節間長との間には正の相関が認められた.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kazuo Watanabe: "Effect of Dwarf Genes on the Cellular Characteristics of Coleoptile in Nearーisogenic Lines of Rice" Japanese Journal of Breeding.
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[Publications] 松尾 孝嶺: "稲学大成第3巻(遺伝編)" 農山漁村文化協会, 795 (1990)
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[Publications] 角田 重三郎: "新版植物育種学" 文永堂, (1991)