1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02660016
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
杉本 秀樹 愛媛大学, 農学部, 助教授 (40112255)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 亨 愛媛大学, 農学部, 教授 (50036315)
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Keywords | ダイズ / 湿害 / 光合成 / 窒素固定 / 窒素追肥 / 物質生産 |
Research Abstract |
近年,水田転換畑におけるダイズの作付が増加してきたが,湿害が大きな問題として生起してきた。光合成は物質生産の基礎であるが,土壌の過湿が光合成に及ぼす影響についての研究はきわめて少ない。本研究においては、過湿条件下における光合成低下の原因について,窒素代謝(根による窒素吸収と根粒による窒素固定)との関連において究明するとともに,その対策についても検討した。 そのために,まず花芽分化期に土壌の過湿処理を行い(地下水位を5〜7cmとした湿潤区と地上水位2〜3cmとした湛水区を設けた),葉位別に光合成速度ならびに窒素含有率を測定した。その結果,光合成速度ならびに窒素合有率に対する処理の影響は,処理別に比較すると湛水区の方が著しく,また葉位別に比較すると下位葉の方が著しかった。葉身窒素含有率と光合成速度とには高い正の相関関係が認められたが,これより過湿処理による光合成速度低下の主要な原因は,葉身窒素含有率の低下であると推察された。そこで,この対策として葉身窒素含有率の低下を補うために,過湿処理終了後に窒素追肥(硫安)を行った。その結果,両処理区とも根粒による窒素固定は著しく減少したが,根による窒素吸収が増加して総窒素同化量が増え,葉身窒素含有率も高まった。そのために光合成速度が高まり,個体当たりの光合成速度も高まって乾物生産が増大した。また,窒素追肥による葉身窒素含有率と光合成速度の上昇は,下位葉ほど顕著であった。窒素追肥は子実収量の増加に対しても効果があった.すなわち,土壌過湿後に窒素追肥をすることにより,莢数が増加した結果子実収量は増えた。そして,莢数増加は落花・落莢の減少によってもたらされた。
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