1990 Fiscal Year Annual Research Report
園芸作物遺伝子源の超低温凍結保存に用いる組織・細胞の凍結・融解・培養系の開発
Project/Area Number |
02660020
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
原田 隆 北海道大学, 農学部, 助教授 (30001457)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 卓 北海道大学, 農学部, 助手 (30196836)
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Keywords | 遺伝子源凍結保存 / アスパラガス / ハスカップ / DMSO濃度 / ソルビト-ル / アブシジン酸 / 冷却速度 / 低温馴化 |
Research Abstract |
アスパラガスの組織培養によって得た培養体のシュ-ト節部切片(一つの腋芽をもつ)を超低温下(液体窒素中)で凍結保存する場合における凍結媒液組成並びに前培養の影響について調べた。 1.凍結媒液組成についてみると、DMSO濃度は8〜20%の場合に、また糖はソルビト-ルが適しており濃度0.2〜0.3Mの場合に凍結融解後のシュ-ト節部切片の生存率が高かった。 2.節間部の茎組織は凍死したが、腋芽及びその近傍の組織は生存しており、ここから新たなシュ-トが発育し、根が形成されて幼植物になった。 3.凍結前処理の培地に添加した生長抑制物質アブシジン酸の影響について、アスパラガス培養体シュ-ト節部切片を用いて調べたところ、顕着な効果は認められず、処理期間が15日間以上になると処理温度の高いところでは生存率が低下した。4.以上の結果から、アスパラガス培養体節部切片を凍結保存する場合の凍結媒液中のDMSOの濃度は8〜20%が適濃度範囲で、糖はソルビト-ル0.2Mが適当であると考えられる。 小果樹ハスカップの休眠枝茎頂の凍結保存については次のとおりである。1.0.5℃/minでー40℃まで予備凍結を行うと100%生存しており、ー40℃から液体窒素中に浸漬しても(超急速冷却)生存率80%以上であった。2.予備凍結冷却速度1.0〜3.0℃/minでも100%生存しており、他の植物に比べて凍結による脱水が容易であると考えられる。 ハスカップin vitro培養体のシュ-ト節部切片の凍結保存においては、ー40℃まで予備凍結を行うと生存率が急激に低下することや、液体窒素中で生存させるためには凍結過程に入る前に低温馴化処理を行う必要があることなどから、培養体から得られる保存用材料は、休眠枝など屋外の材料に比べて生存能力が低いと考えられるが、凍結・融解技術の改良により生存率を高めることが可能であると考えられる。
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