1990 Fiscal Year Annual Research Report
IPM(総合的害虫管理)を視野に入れた水田生息性ユスリカ類の評価
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02660049
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
矢野 宏二 山口大学, 農学部, 教授 (90038208)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱崎 詔三郎 山口大学, 農学部, 講師 (10035107)
平尾 重太郎 山口大学, 農学部, 教授 (40218764)
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Keywords | 水田生息性ユスリカ / 幼虫の発育 / 幼虫の耐乾燥性 / 成虫の密度 / 水田内の分布 / IPM |
Research Abstract |
1990年度は山口市(野外と室内)を主調査地とし,中国地方(広島県、島根県)と九州(熊本県)でも一部の項目について調査した.得られた結果は下記のとおりである. 1.発生ユスリカ類成虫の密度 700m^2の水田を6区画にわけた系統抽出法とし,各1個の羽化トラップを2週間毎に区画内を移動させて捕獲ユスリカ個体数を解析した結果,本田初期に全発生量の84.1%が捕獲された.全期間を通した当該水田の推定発生個体数は327万個体で,このうち,ウスイロユスリカが優占種で231万個体と推定された. 2.水田内における分布 本田初期の高密度時の捕獲は中央部より周辺部で多い傾向がみられたが,以後は差がなかった.6区画のうちの1つは捕獲数が他と比較して少ないが,トラップ面積に対応できるほどユカリカ幼虫の生息はミクロにみて均一ではないと考えられるので,水田全体としてほぼ均一に分布していると推定される. 3.オオヤマユスリカとハイイロユスリカの発育 幼虫の齢期と発育,成虫の羽化日周性,寿命,蔵卵数,性比,群飛のデ-タを得た.また,種々の温度,給餌量,水質,培地の土壌,密度下における幼虫の発育デ-タを得た.飼育培地の乾燥度(含水比)を変えて幼虫を飼育し,水田の水環境変動に対する適応性を調べた結果,ハイイロユスリカでは含水比30%で30ー50日間生存することが分かった.
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[Publications] OKazaki,A.and K.Yano: "Biology of Tanytarsus oyamai Sasa (Diptera:Chironomidae)" Transactions of the Shikoku Entomological Society. 19. 89-99 (1990)
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[Publications] Yano,K.,M.Takayama and T.Ueda: "Biology of Glyptotendipes tokunagai Sasa (Diptera:Chironomidae) 1.Development of immature stages" Transactions of the Shikoku Entomological Society. 20. (1991)
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[Publications] 上田 徹・矢野 宏二: "ハイイロユスリカ(双翅目:ユスリカ科)の生物学的研究 2.幼虫の耐乾燥性" 中国昆虫. 5. (1991)
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[Publications] 矢野 宏二・霜鳥 博史・濱崎 詔三郎・平尾 重太郎: "水田におけるユスリカ類成虫の密度" 日本応用動物昆虫学会中国支部会報. 33. (1991)