1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02660063
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
有馬 泰紘 東京農工大学, 農学部, 助教授 (90011973)
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Keywords | イネ / 硝酸イオン吸収 / 硝酸還元 / アミノ酸合成 / 硝酸同化 / 重窒素 |
Research Abstract |
播種後9日目から7日間0.07mMNO^ー_3を含む水耕培地で生育した水稲幼植物を3mM,9mM,15mMの ^<15>NーNO^ー_3を含む水耕培地に移し.植物体のNO^ー_3吸収、地上部への移動、根部と地上部におけるNO^ー_3の還元同化について解析的に検討した。 NO^ー_3吸収速度は、高濃度培地に移されると高まり、根での硝酸還元速度と根から地上部へのNO^ー_3移動速度も高まるが、初期には、吸収速度の増加の方が大きく、根、地上部共にNO^ー_3プ-ルのサイズは大きくなる。しかし、時間の経過と共にNO^ー_3の還元同化速度は高まり、NO^ー_3プ-ルのサイズは根部、地上部共に定常状態となる。この変化の過程では、新規吸収窒素の地上部への移動速度は低下するが、それより前に吸収され根に蓄積していたNO^ー_3の地上部への移動速度が高まり、これを補うと判断された。根では、硝酸還元速度、アミノ酸合成速度が時間の経過と共に著しく増大し、特にアミノ酸合成速度が増大するが、それは、蓄積していたNO^ー_3の還元産物にも依存していた。根でのタンパク合成速度は.時間経過と共にさほど増大せず、アミノ酸合成の増大につれて、アミノ酸の形態での地上部への窒素移動が増加していると判断された。地上部での硝酸還元速度は高く維持され続けたが.特に新規吸収窒素が優先的に還元されていると判断された。また、地上部でのタンパク合成は、地上部で合成されるアミノ酸と根から移動してくるアミノ酸の両方に依存して、時間の経過と共にその速度を増大させ続けた。 培地濃度3段階の間では、変化の過程に質的な相異は認められず、変化の速度に若干の差異があるだけである。
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