1990 Fiscal Year Annual Research Report
根粒菌による根粒形成過程にみられる菌株間競合能の発現機構
Project/Area Number |
02660071
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
小沢 隆司 大阪府立大学, 農学部, 助手 (20152481)
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Keywords | 根粒菌 / Bradyrhizobim japonicum / ダイズ / 競合的根粒形成能 / 細菌接着 / 疎水性 / 多糖分解酵素 / トランスポゾン挿入変異 |
Research Abstract |
ダイズ根粒菌の競合的根粒形成能と菌体表層疎水性との関連を明らかにするために研究を行い、その結果、次のような新しい知見が得られた。 1.E.coli S17ー1(pSUP1021)との接合伝達によってトランスポゾンTn5を挿入したB.japonicum 138NRの変異株の中から、ポリスチレン平板レプリカ法(Rosenberg,1981)によって、20株の高疎水性変異株(HH変異株)を分離した。これらのHH変異株は親株と比べて高い競合的根粒形成能(競合菌B.japonicum 123ET)を示した。現在、疎水性の低い他の菌株(B.japonicum 143NR)から分離したHH変異株について、競合的根粒形成能を調べている。 2.B.japonicum 138NRおよびそのHH変異株の培養液から菌体外多糖(EPS)をエタノ-ル沈澱法によって分離した。BioーGel A1.5mを用いて粗EPSのゲルろ過を行った。その結果、138NRの粗EPSはおよそ2Kと200Kの2つの分子群より構成されていたが、HH変異株はいずれも2KのEPS画分が欠失ないし極めて低い含有量を示すことが明らかとなった。また、SDSーポリアクリルアミドゲル電気泳動パタ-ンから、HH変異株のリポ多糖は親株のリポ多糖と異なる鎖長のOー糖鎖を有することが示唆された。 3.発芽4日目のダイズ幼植物根の0.9%NaCl抽出液から、硫安塩析、DEAEートヨパ-ル650Mによるイオン交換クロマト、BioーGel A1.5m、Sephadex Gー75によるゲルろ過によって、リポ多糖分解酵素を比活性で45倍まで精製した。しかし、SDSーポリアクリルアミドゲル電気泳動で4本のタンパクバンドが確認されるので、現在さらに精製を進めている。なお、この粗酵素でB.japonicum 138NRを処理すると、菌体LPSの変化および菌体疎水性の増加に伴って、菌体ダイズ根接着性が大きく増加した。
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