1991 Fiscal Year Annual Research Report
破砕木片の腐朽過程における牧草根系、土壌動物および土壌微生物相の推移
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02660072
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Research Institution | School of Veterinary Medicine and Animal Sciences |
Principal Investigator |
鈴木 創三 北里大学, 獣医畜産学部, 助教授 (30137898)
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Keywords | 土壌微生物 / 土壌動物 / 細菌 / 放線菌 / 糸状菌 / セルロ-ス分解菌 / バイオマス / 不耕起草地 |
Research Abstract |
平成3年度の研究計画で述べた3項目のうち、2つにいてはとくに土壌動物および土壌微生物相の季節的推移について、また3については木片のかわりにベンチコ-トシ-トを用いたセルロ-ス分解モデル実験を行なった。以下、結果の概要を述べる。(1)土壌中の細菌、放線菌、糸状菌およびセルロ-ス分解菌の生菌数の季節的推移:北里大学SB工法で造成した不耕起草地の表層土壌中の低栄養型の細菌および放線菌(DNB菌)は10^∧7〜8、糸状菌は10^∧5〜6、セルロ-ス分解菌は中間の10^∧6〜7g/乾土の範囲で5月から10月まで漸増した。セルロ-ス分解菌数は破砕木片に富む草地および林地表層土壌のほうが、一般的な工法で造成した草地より僅かに多かった。(2)セルロ-スの分解過程における各菌数および微生物バイオマスCの推移:現地および恒音恒湿室内の土壌に埋設したベンチコ-トシ-トは50〜60日後にほとんど分解し、その分解速度は20〜30日後および40〜50日後の二つの時期が高かった。細菌、放線菌、糸状菌および微生物バイオマスCはいずれの時期にも増加したが、セルロ-ス分解菌は20〜30日後のみに増加し、40〜50日にはむしろ減少した。セルロ-スの分解は初期と後期とに分かれ、初期にはセルロ-ス分解菌が主体的に分解を進めるが、後期にはセルロ-ス分解菌よって分解された糖などが増加するため、他の菌の関与がより大きくな ると推察された。(3)土壌動物相の生態型の特徴:中型土壌動物相は7〜10月までにダニ目は10^∧4〜5、トビムシ目は10^∧3〜5、およびセンチョウ綱は10^∧4〜7/m^2でそれぞれ推移した。ダニ目およびセンチュウ綱は秋にかけて増加した。センチュウ綱はいずれの層位でも認められたが、ダニ目およびトビムシ目は表層でのみ認められた。センチュウ綱は林地区では苔や高等植物の地下部あるいは寄生虫に寄生するような種が多かったが、草地では寄生虫に寄生するものは認められず、淡水や水辺あるいは湿った土壌を好むものが認められた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 鈴木 創三,杉浦 俊弘,小林 裕志: "破砕木片に富む播種床土壌中の微生物相、ー機械力を用いた不耕起草地造成試験(第6報)ー" 土肥誌.
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[Publications] 鈴木 創三,杉浦 俊弘,小林 裕志: "造成および放牧利用にともなう中型土壌動物相の推移、ー機械力を用いた不耕起草地造成試験(第7報)ー" 土肥誌.
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[Publications] 鈴木 創三,杉浦 俊弘,小林 裕志: "破砕木片に富む放牧草地の土壌微生物および微生物バイオマスCの季節的推移、ー機械力を用いた不耕起草地造成試験(第8報)ー" 土肥誌.
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[Publications] 鈴木 創三,杉浦 俊弘,小林 裕志: "セルロ-ス分解過程における土壌生物相および微生物バイオマスCの推移、ー機械力を用いた不耕起草地造成試験(第9報)ー" 土肥誌.