1990 Fiscal Year Annual Research Report
キラル重水素標識化糖を用いたDーガラクト-スオキシダ-ゼの活性中心の立体化学研究
Project/Area Number |
02660076
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大類 洋 東北大学, 農学部, 助教授 (20100050)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 芳弘 東北大学, 農学部, 助手 (80183896)
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Keywords | ガラクト-スオキシダ-ゼ / 活性中心の立体化学 / キラル重水素化基質 / 酵素の選択性 / TRNOE法 |
Research Abstract |
ガラクト-スオキシダ-ゼの活性中心の立体化学を明らかにする目的で,従来本酵素の基質となるとされている,4ーF,4ーNH_2,4ーCl,4ーHガラクト-スおよびそれらの(6R)ー,(6S)ーキラル重水素標識体を合成し,酵素の(6R),(6S)ー選択性をまず調べた。4ーF,4ーNH_2,4ーCl体はいずれもこれまでの報告通り,酵素の基質となり,その選択性はガラクト-スと全く同じであり高proS選択的酸化(97〜98%)であることを明らかにした。しかし4ーH体はこれまでの報告とは異なり,全く酵素の基質とはならなかった。この実験事実は非常に重要な結果であり,従来の“ガラクト-スの4位の水酸基は酵素による認識に無関係である"という活性中心の概念を否定するものであり,4ー位の電気陰性基は重要な働きをしていることを示すものである。4ー位の電気陰性基の役割をさらに確める目的で,4ー位にこれら電気陰性基を有し,あってはならないとされているグルコ-ス配位にも置換基を持つ4ーF,F',4ーOH,OH',4ーOH,CH_3誘導体で酵素反応を行う計画を立て,現在これら化合物の合成がほぼ終了し,現在酵素反応を行う段階にある。 なお,本研究途上酵素反応をNMRの試料管中で行いNMRで反応を追跡する方法を開発したので,キラル重水素化基質を用いることによりTRNOE法で酵素活性中心におけるガラクト-スの真の立体配座を解明出来る可能性が生まれた。今後この線に添って研究を進める計画である。
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