1990 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠子宮脱落膜におけるペプチジルアルギニンデイミナ-ゼの発現調節機構と機能の解明
Project/Area Number |
02660077
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
高原 英成 茨城大学, 農学部, 助教授 (30122063)
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Keywords | 妊娠子宮脱落膜 / ペプチジルアルギニンデイミナ-ゼ / 遺伝子発現調節 / マウス子宮 |
Research Abstract |
ペプチジルアルギニンデイミナ-ゼ〔EC3、5、3、15〕(以下PADaseと略記)はCa^<2+>存在下で蛋白質のArg残基を脱イミノレCit残基に変換する酵素である。先に我々は、マウス子宮内PADaseが妊娠中期に急激に増加することやその存在部位が胚を取囲むように発達する脱落膜に局在していることを見出した。この様に妊娠子宮におけるPADaseの発現調節機構およびその機能の解明は重要な研究課題である。本研究では、PADaseの妊娠期における発現調節機構の解明のため、まず妊娠期のPADase mRNA量の変化を検討した。ddY系マウスを交配させ、妊娠期各ステ-ジの子宮からmRNAを得た。mRNAの単離はFast Track Isolation Kit(Invitrogen社)を用い、Glyoxal法により変性後ナイロンメンブランにブロットした。PADase mRNAの検出(hybridization法)のためのプロ-ブは、先にクロ-ニングしたマウスPADase c DNA(λ_<PAD>24)を用いた。その結果、妊娠期の脱落膜におけるPADase mRNAの発現は先に明らかとなった本酵素の発現開始期(7日目)と一致して認め始められ、その量は10日目にかけて増加後それ以後は減少した。このようなPADase mRNAの変化は先に明らかとなったPADaseの活性量の変化と一致していることから、妊娠脱落膜におけるPADase遺伝子の発現は転写レベルで制御されていると思われる。つぎに、上記のPADase遺伝子の発現調節因子を明らかにするため着床期(妊娠4日目)に卵巣摘出したマウスを用い、各性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)の投与とPADase mRNAの発現量について上記と同様な手法を用いて検討した。その結果、プロゲステロンの投与によりPADase mRNA量の増加が認められる一方、エストロゲンはそれを抑制することが見出された。この結果は、以前我々が非妊娠期の子宮におけるPADaseの発現が、エストロゲンの投与により増大すること、またプロゲステロンはそれを抑制することを見出した点と逆の関係であり、大変興味深い知見を得た。
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Research Products
(1 results)