1990 Fiscal Year Annual Research Report
トロパンアルカロイド生合成遺伝子のクロ-ニングとその発現解析
Project/Area Number |
02660090
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
橋本 隆 京都大学, 農学部, 助手 (80180826)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 康之 京都大学, 農学部, 教授 (50026415)
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Keywords | 二次代謝産物 / アルカロイド / プトレシン / メチル基転移酵素 / 培養根 |
Research Abstract |
数種のナス科植物に含有されるトロパンアルカロイドはオルニチン及びアルギニンからプトレシンを経由して生合成されるが、プレトシンまでの経路は生物一般に存在するポリアミン生合成と共通の経路である。アルカロイド特異的経路へはプレトシンがNーメチル化されることにより分岐するが、この反応を触媒する酵素がプトレシンNーメチル基転移酵素(PMT)である。PMTを用いてアルカロイド生合成の組織・細胞特異的発現の機構を分子レベルで解明するを目的に、平成2年度はヒョス培養根からPMTを各種クロマトグラフィ-を用いて高度に精製し、その酵素学的性質を調べた。具体的には、硫安分画のあとブチルカラムとDEAEーカラムを通し、次にSAHアフィニティ-・クロマトグラフィ-を実施した。さらに未変成調製ゲル電気泳動を行い、最終的にクロマトフォ-カシングを用いて精製した。精製した酵素標品はSDSーPAGEと銀染色により数本のバンドを与えた。部分精製した酵素標品を用いてPMTの性質を調べたところ、PMTはプレトシンを最良の基質とするほか、1,3ーdiaminopropaneやNーmethylー1,3ーpropanediamineなどのヂアミン、さらにスペルミジンやスペルミンなどのポリアミンにもある程度反応するが、モノアミンは全く基質としないことが判明した。Km値はプトレシンに対し0.37mM、SAMに対し0.57mMであった。本メチル基転移酵素は特に金属イオンを必要としなかった。SAH,sinefungin,nーbutylamineがPMT活性を阻害したが、SH試薬による酵素活性の阻害は弱かった。また、至適pHはややアルカリ性側のpH9付近であった。今後、PMTを単一タンパク質にまで精製し、その部分ペプチドのアミノ酸配列を決定することにより、PMTcDNAのクロ-ニングを行う予定である。
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