1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02660095
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
金沢 和樹 神戸大学, 農学部, 助教授 (90031228)
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Keywords | 脂質過酸化物 / トリアシルグリセリドヒドロペルオキシド / 消化管内解毒 / 過酸化物の毒性 / 体内吸収 / ペルオキシドの分解 / 過酸化物のHPLC / 胃内解毒 |
Research Abstract |
食物中の脂質は、容易に空気中の酸素によって過酸化され、有毒な脂質過酸物を生じる。私達の日常の食品には、微量ではあるが過酸化物が含まれている。しかし生体は防御手段を持っており、消化管もその一つと考えられる。平成2年度の研究で、ラットを用いて、経口投与したノール酸ヒドロペルオキシドの消化管からの定量的検出法を確立し、消化管の脂肪酸過酸化物の解毒能力を明らかにした。食物に含まれる脂質の多くはトリアシルグリセリドであるので、3年度の研究では、その過酸化物を用いて分析し、消化管はそれも容易に解毒することを明らかにした。そこで本年度は、栄養状態の違いで、消化管の解毒能力がどのように変わるかを調べた。 ラットを高蛋白質(カロリーの約60%が蛋白質)あるいは高脂肪食で4週間飼育し、高炭水化物食(日本人の普通食で理想食と考えられる)で飼育した場合と、消化管のトリアシルグリセリド過酸化物(6mgを経口投与)に対する解毒能力を比較した。高蛋白食の場合は普通食に比べて、過酸化物の解毒速度は遅く、高脂肪食の場合は速かったが、いずれも投与4時間後には胃内の過酸化物の残存量は同程度になった。また高脂肪食の場合は投与1〜3時間後の解毒速度が著しく遅くなることから、胃内で生体脂質由来の過酸化物が生成すると考えられた。一方、いずれの場合も胃内から脂肪酸の過酸化物が検出され、空腸からは過酸化物は検出されなかった。さらに、この解毒能はSH基の阻害剤で失われた。 以上のことから、栄養状態によって解毒速度は異なるが、高蛋白食、高脂肪食、高炭水化物食のいずれの食事でも、トリアシルグリセリドの過酸化物は胃内でリパーゼにより、脂肪酸の過酸化物に加水分解され、その後グルタチオンペルオキシダーゼなどのSH基を利用する還元酵素で解毒され、空腸には移らず、体内には吸収されないと結論した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 金沢 和樹: "Limoleic and hydroperoxide in digestive tract" Free Radical Biology a Medicin. 9. 108- (1990)
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[Publications] 金沢 和樹: "Hepatic dysfunction caused by dietary products of lipid peroxidation" International Journal of Tissue Reaction. 13. 67-78 (1991)
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[Publications] 金沢 和樹: "Hepatotoxicity caused by dietary secondary products Originating from Lipid Peroxidation" Nutritional and Toxicological Consequence of Food Processing,Planum Press,New York. 289. 237-253 (1991)
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[Publications] 金沢 和樹: "Tissue injury induced by dietary products of lipid peroxidation" Free Radical and Amtioxidants in Nutrition,Richelieu Free Series:Redreliue Press,London. (1993)
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[Publications] 金沢 和樹: "脂質過酸化生成物の生体への影響と生理活性" 活性酸素・フリーラジカル. (1993)
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[Publications] 金沢 和樹: "Gastrical protection to lipoperoxides" Journal of Nutrition.