1990 Fiscal Year Annual Research Report
グラム陽性菌におけるタンパク質分泌機構、特に分泌装置の遺伝子に関する解析
Project/Area Number |
02660106
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉川 博文 東京大学, 応用微生物研究所, 助手 (50175676)
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Keywords | 蛋白質の膜透過 / 膜蛋白質 / 枯草菌 / 蛋白質分泌機構 / 胞子形成 |
Research Abstract |
1.枯草菌スペクチノマイシン耐性遺伝子を含む断片をクロ-ニングし塩基配列を決定した結果、リボソ-ムタンパク質S5に続いて、L30、L15,SecYの各遺伝子が相同性から確認された。また、遺伝子の配列も大腸菌と同じであった。しかし、SecYの下流は大腸菌と異なっており、アデニル酸キナ-ゼ(AdK)の遺伝子が続いていた。 2.SecY蛋白質は、疎水性・親水性プロットが大腸菌のものと非常によく似ており、やはり膜蛋白質であることが予想される。また、アミノ酸配列で特に相同性の高い領域が7ケ所存在するが、その領域は膜貫通ドメインか細胞質側ドメインに局在しており、その機能の普遍性をうかがわせる。 3.変異剤処理によってsecY遺伝子の変異により、胞子形成が温度感受性になった株を得た。この株は37℃では正常に胞子形成を行なうが、45℃では胞子形成率が10^<ー4>程度に落ちている。また、形質転換時の組換え能も、野生株に比べて、10^<ー2>以下に低下している。 4.今回得られたsecY遺伝子領域のみをプロ-ブとして、他の生物種についてサザンハイブリダイゼ-ションによる解析を行なったところ、黄色ブドウ球菌において強いシグナルが観察された。また、クロストリジウムや各種のらん藻類においても、弱いながらもシグナルが得られた。 5.枯草菌チオストレプトン耐性の遺伝子を、同様の方法でλg+11上にクロ-ニングした。塩基配列の解析の結果、リボソ-ム蛋白質L11の遺伝子が確認できた。現在、近接領域の塩基配列を決定し、secE相当遺伝子を採している段階である。
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[Publications] H.Yoshikawa: "Sequence of the Bacillus subtilis spectinomycin resistance gene region." Nucleic Acids Res.18. 1647-1647 (1990)
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[Publications] K.Nakamura: "Cloning and characterization of a Bacillus subtilis gene homologous to E. coli secY." J.Biochem.107. 603-607 (1990)
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[Publications] H.Yoshikawa: "Bacillus subtilis SecY protein is required for sporulation."