1990 Fiscal Year Annual Research Report
大豆種子からの分泌熱ショック蛋白質の特性と食品加工への応用
Project/Area Number |
02660126
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大久保 一良 東北大学, 農学部, 教授 (00005612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩淵 せつ子 東北大学, 農学部, 教務員 (50089794)
浅野 三夫 東北大学, 農学部, 教務員 (40089793)
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Keywords | 分泌様成分 / Basic 7S globulin / 熱ショック蛋白質 / 大豆種子 / 滲出成分 / 種子の熱処理 / 発芽と熱処理 / 配糖体成分 |
Research Abstract |
ごく最近、我々は、50〜60℃における短時間処理で、大豆の種子外に白濁するほど分泌される特異な蛋白質を見つけることができた。しかもこの蛋白質は含硫アミノ酸に富むbasic 7S globulin(Bg)で、少なくとも熱ショックで転写されたmーRNAからの蛋白質と同じものであり、発芽抑制作用のあることも明らかにすることができた。この分泌様現象は種子の生理現象としても興味がもたれ、食品加工への前処理としても重要な意味をもっているものと推察された。そこで、この分泌様現象をより詳細に調べた結果、Bgだけでなく、サポニン等の配糖体成分、スタキオ-ス等の少糖類も同時に種子から滲出することが新たにわかった。サポニンとしては、ソヤサポゲノ-ルAをアグリコンとするAグル-プサポニンが他のサポニンより滲出しやすい傾向がみられ、シュクロ-ス、スタキオ-ス等の少糖類の大部分が滲出する傾向にあった。種皮の硬い品種では滲出程度がすくなかったが、脱皮による品種間差異が観察された。定量的に調べた結果、種子が含有する以上の成分が滲出することはなく、熱ショックで生じる蛋白質量は極く僅かであることもわかった。また、この滲出挙動に及ぼす温度、pH、塩類の影響を調べた結果、塩濃度が増すにつれ室温でもBgが種子外に滲出する傾向がみられた。従って、これら分泌様成分は生体内でも細胞膜、内皮に近い部位に存在するもの推測された。さらに工場規模の煮豆工程で量的に調製し、ラビットのコレステロ-ル代謝に及ぼす影響を調べた結果、その代謝に従来観察されな興味ある兆候がみられた。現在、熱処理と発芽との関係から、分泌様現象の意義について検討している。
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Research Products
(1 results)