1991 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質工学的に高品質化した大豆グリシニンの形質転換植物における発現とその解析
Project/Area Number |
02660140
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
内海 成 京都大学, 食糧料学研究所, 助教授 (40111976)
|
Keywords | 大豆タンパク質 / グリシニン / タンパク質工学 / 形質転換植物 / タバコ |
Research Abstract |
植物性タンパク質は動物性タンパク質に比べると経済性、供給量で優れているが、栄養性、機能特性の点で劣っている。しかし、植物はコレステロ-ルを含有していない。しかも、大豆タンパク質は血中コレステロ-ル値を低下させることが知られている。そこで、成人病予防のために、動物性タンパク質に匹敵する栄養性、機能特性を持つ高品質なタンパク質を産出する大豆植物体を開発する基盤を確立することを目的として、本研究では大豆タンパク質の主成分であるグリシニンをタンパク質工学的に高品質化し、それをコ-ドする改変遺伝子のタバコ植物体における発現挙動を解析した。本年度の成果は以下の通りである。 1.グリシニンの高品質化:グリシニンの構造的特徴と構造・機能特性相関関係を踏まえて構築した改変グロシニンで、グリシニン本来の構造を構築できると考えられたもののうち、前年度に解析できなかったジスルフィド結合を除去した改変グリシニンの機能特性を調べた。その結果、いずれのものも大豆グリシニンより優れた乳化性を示した。また、そのうち1種は飛躍的に優れた加熱ゲル化性を示した。 構造構築に不都合を引き起こさないと考えられた改変を組み合せた各種の“組み合せ改変グリシニン"の構造構築能を超遠心分析によって解析した結果、各改変は実際に全く構造構築に不都合を引き起こさないことが実証された。また、構造の不安定化が機能特性の改善と直接的に関係していることが示された。 2.タバコ形質転換植物体の作出と発現解析:栄養性、機能特性とも優れた性質を示した改変グリシニンをコ-ドする遺伝子をカリフラワ-モザイクウイルスの35Sプロモ-タ-を持つTiプラスミドを用いて導入した形質転換タバコにおいて、改変グリシニンの蓄積を確認した。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Shigeru Utsumi: "properties and distribution of soybean proglycinin expressed in Saccharomyces cerevisiae" Journal of Agricultural and Food Chemistry. 39. 1179-1186 (1991)
-
[Publications] Shigeru Utsumi: "Improvement of food protein functions by chemical,physical,and biological modifications" Comments on Agricultural and Food Chemistry. 2. 261-278 (1991)
-
[Publications] Shigeru Utsumi: "Plant food protein engineering" Advances in Food and Nutrition Research. 36. (1992)