1990 Fiscal Year Annual Research Report
カゼインミセルにおけるコロイド状リン酸カルシウム架橋の形成機構
Project/Area Number |
02660146
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
青木 孝良 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (70034460)
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Keywords | カゼイン / カゼインミセル / リン酸カルシウム / コロイド状リン酸カルシウム / 卵白フラボプロテイン / 人βーカゼイン |
Research Abstract |
本年度はまず,コロイド状リン酸カルシウム(CCP)架橋の形成機構を明らかにするために,CCP架橋形成に必要な最少リン酸基数を明らかにした.そのために,リン酸基を0ー5個含む人乳βーカゼインの6成分を分離精製した.得られた人乳βーカゼイン6成分とκーカゼインとで人工ミセルを調製し,CCP架橋カゼイン含量を高速液体ゲルクロマトグラフィで調べた.人乳βーカゼインー1Pと2PのミセルではCCP架橋カゼイン会合体は形成されなかったが,人乳βーカゼイン3Pと4Pのミセルでは,CCP架橋カゼイン会合体が形成されたことから,CCP架橋形成には少なくともカゼイン分子中に3個のリン酸基が必要なことが明らかになった. カゼインのCCP架橋形成にカゼインのサブミセル構造が必要か否か明らかにするために,尿素存在下でCCP架橋形成を調べた.6M尿素が存在していてもCCP架橋カゼイン会合体含量が尿素が存在しない場合に比べてやや少なかったものの架橋が形成されたことから,カゼインはサブミセル構造をとっていなくても架橋が形成されることが明らかになった. 次に,カゼイン以外のタンパク質でもCCP架橋が形成されるか否かを明らかにするために,1分子中に8個のリン酸基をもつ卵白フラボプロテインを調製し,そのCCP架橋形成を調べた.フラボプロテイン溶液にカルシウム,無機リン酸,クエン酸を加えると,CCP架橋が形成されることが高速液体ゲルクロマトグラフィで明らかになった.酸性ホスファタ-ゼでフラボプロテインを脱リンすると,CCP架橋は形成されなくなったことから,フラボプロテインもリン酸基を介して,CCP架橋が形成されるのを明らかになった.
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Research Products
(1 results)