1991 Fiscal Year Annual Research Report
林業生産組織としての事業体の存在形態と発展条件に関する研究
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02660149
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
船越 昭治 岩手大学, 学長
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 孝昭 岩手県林業試験場, 特用林産部長
岡田 秀二 岩手大学, 農学部, 助教授 (70133907)
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Keywords | 国産材時代 / 林業事業体 / 林業の担い手 / 自営集団型組織 / 独立事業体型組織 / 機能集団型組織 / 林業機械利用組合 / 農民的共同組織 |
Research Abstract |
本年度は昨年度に引き続き林業事業体に関する全国的資料の収集と先発(進)林業地帯での聞ききとり調査を実施した。その成果について略述すると以下の通りである。 1.事業体に関する全国的資料の収集からは、労働力確保への取組みの中から、これまでとは異なる内容の組織が現われてきていることがわかった。組織形態の違いから捉えておくと、ひとつには、第3セクタ-による組織化である。ここには「悠木産業」(熊本県小国町)や「KKいぶき」(愛媛県久万町)のように町村レベルによるものと高知県の「嶺北林業」のように数カ町村によるものがある。第2は,既存事業体の内容変更で、そこには森林組合と民間事業体の事業提携や森組出資の労働会社の設立も含まれる。第3は、林研グル-プの事業体化である。 2. 三重県の調査からは、とりわけ素林生産と係わって次の3つの事業体グル-プが析出されていることを確めた。ひとつは、中大所有者の同族による作業会社である。その背景には,伐採方法の択伐・間伐方式への移行と、事業体の減少の実態がある。第2は,年間3,000m^3以下の事業規模にある零細資本の事業体で,わずかひとセット(5人以下)編成の組織である。クレ-ン付トラックの導入によるコストダウンと材価の短期的変動に対応する事業体として存立根拠をもっている。第3は,いわば小農的生産者組織と言えるもので、主要には兼業農家の夫婦2人による事業体化である。あるいは、シイタケ等の「手間替」労働のメンバ-による組織化であり、間伐木の大量集荷が不可欠な資源構造が背景にある。 3.静岡県の調査からは、太平洋ベルト地帯への労働力流出構造が一段と進む中で、そして一方では,木材生産コスト低減の要請の中で、高性能大型機械を軸とする新たな機能組織が生まれていることがわかった。
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