1991 Fiscal Year Annual Research Report
均一過ヨウ素酸酸化による新規セルロ-ス誘導体の調製とその物性
Project/Area Number |
02660176
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
師岡 敏朗 京都大学, 木質科学研究所, 助教授 (00192378)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
則元 京 京都大学, 木質科学研究所, 教授 (20027163)
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Keywords | セルロ-ス / アセテ-ト / 過ヨウ素酸酸化 / 粘弾性 / 均一反応 / 動力学特性 / ジアルコ-ルセルロ-ス |
Research Abstract |
2,3ージアルコ-ルセルロ-スにおいてはグルコピラノ-ス環のC_2、C_3間の結合が切断されていて、これを出発物質とすると、セルロ-スにおけると同様の反応で様々な新しい誘導体を導き得る。本年度は、ジアルコ-ルセルロ-スの構造を赤外線吸収スペクトル、およびX線回折を用いて明らかにするとともに、ジアルコ-ルセルロ-ス側鎖にオリゴオキシメチレンエ-テルアセテ-ト基を導入した新規のアセテ-ト(diーOAc)を調製し、セルロ-スに同じ側鎖を導入したもの(COAc)との差異を主に動的粘弾性測定結果に基づいて検討した。COAcについてIOOHZのオ-ダ-で、3種類の緩和過程が観測され、それらを高温側からα、βおよびγと名付けると、それらはそれぞれ主鎖のミクロブラウン運動(α)、側鎖のミクロブラウン運動(β)、および側鎖オキシメチレン基の運動(γ)に基づくと考えられた。一方、diーOAcについては2種の過程が認められ、そのうち、低温側の過程はCOAcのγ過程と同じ温度・周波数域に生じ、側鎖オキシメチレン基の運動によると考えられた。高温側の過程はCOAcのβ鎖域に現れ、主鎖と側鎖のミクロブラウン運動を同時に含む緩和過程であるとみなされた。COAcで主鎖と側鎖のミクロブラウン運動が分離して観測され、diーOAcでそれらが同時に生じる理由は、COAcの場合、主鎖の運動単位となる分子セグメントの寸法と側鎖のそれとが大きく異なっているのに対して、diーOAcではグルコピラノ-ス環の開環により、両者の分子寸法が類似してきたためと考えられた。
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Research Products
(2 results)