Research Abstract |
グルコ-スなど単糖類およびセルロ-ス誘導体,特にヒドロキシエチルセルロ-ス(HEC)と水との相互作用を知るために,これらの水溶液およびこれらに水が吸湿・吸水したものについて,熱分析を行いその結果と,計算機シミュレ-ションの結果を比較することにした。HECはNo1,2,3,4の試料を使用し,ヒドロキシエチル基のモル置換度(MS)と粘度はそれぞれ1.29,1.39,2.34,3.80および20ー30(2%),4500ー6500(2%),2776(1%),1692mPa(1%)であった。これらのRH92.3%における吸湿量はそれぞれ1.32g/g,0.69g/g,0.70g/g,0.79g/gであった。これらの結果から,分子量が小さく,MSが大きいほうが吸湿・吸水性が大きいことがわっかった。また,熱分析の測定による不凍水量はそれぞれ0.77g/g,0.58g/g,0.56g/g,0.49g/gで,吸湿・吸水した水のそれぞれ58.3%,84.1%,80.0%,62.0%が不凍水であった。これらの結果から,MSが小さいほうが,不凍水量が多くHEC分子と水との相互作用が大きいことがわっかった。単糖類についてはまだしていないが,平成3年度に特にブドウ糖などについてHECと同様に熱分析を行って,その結果と分子軌道法による単糖類と水との相互作用を計算して比較検討したい。また,ヒドロキシエチルブドウ糖は市販されていないようなので,シミュレ-ショを行いブドウ糖と比較する。分子動力学法やモンテカルロ法によって,構造(2体相関関数,動径分布関数,角度相関関数など),熱力学量(内部および自由エネルギ-など)を計算したい。 また,パソコンによるコンピュ-タ化学の講習会(分子力学法,分子動力学法,非経験的分子軌道法など)に出席してその概要を知った。
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