1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02660199
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
奥田 武男 九州大学, 農学部, 教授 (80038174)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 栄男 九州大学, 農学部, 助手 (50195054)
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Keywords | 藻場造成 / 採苗 / 栄養繁殖 / アカモク / シダモク / 秋型アカモク / 再生枝 / 雌雄性 |
Research Abstract |
本研究は当初大別して次の3つの事項を内容として設定した。すなわち、採苗の立場からのナラサモ、エゾノネジモクにおける卵放出の周期性の検討、秋に成熟するアカモク個体群の生育地ー分布範囲の確認、栄養繁殖による個体維持の可能性である。また研究の途上で明らかとなった雌雄同株のアカモク個体及びその群落についても調査を進めた。 1、ナラサモ、エゾノネジモクの両種は外海に面した波浪の影響を著しく受ける場所に生育するため従来全く対象にされなかったものであるが、福岡県津屋崎では5月から6月にかけて卵を放出すること、放出に周期性はないこと等が明らかとなった。また未受精卵が非常に多い結果が得られたが、今年度の特徴か、例年の現象かについては次年度も観察を続ける予定である。2、秋に成熟するアカモクの分布については、西部では山口県竹島で生育を確認した。東部では岡山県牛窓で、その間に広島県呉市、厳島、香川県庵治で新たに確認した。大阪湾岸ではまだである。牛窓が東の限果か否かについては次年度も調査を続ける予定である。3、栄養繁殖については、秋成熟型のアカモクを用い、付着器及び茎を種々の大きさ、位置で切出し、試験管で培養して再生枝が生ずるか否かを調べた。その結果、切断しても再生枝は生ずることがわかった。このことは断片を種苗として用いることの可能性を示すものである。4、アカモクは春季の藻場の構成種として大きな役割を果たしている。シダモクとは完全な別種であるが、1991年の調査中、広島県向島で、外形も雌雄性も両種の中間型を示す個体が多量に生育しているのが明らかとなった。シダモクは従来稀産種と考えられていたが、10数年前より繁殖が目立ってきた種類なので、この種についても分布、雌雄性の観点から研究を行う。
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