1990 Fiscal Year Annual Research Report
海産仔稚魚におけるEPA及びDHAの役割とその要求量に関する研究
Project/Area Number |
02660208
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Research Institution | 東京水産大学 |
Principal Investigator |
竹内 俊郎 東京水産大学, 水産学部, 助教授 (70092591)
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Keywords | EPA / DHA / 要求量 / シマアジ / マダイ / ワムシ / アルテミア |
Research Abstract |
まず、シマアジの卵、ふ化仔魚、全長5、10、15及び20mm各サイズの仔魚をサンプリングし、水分、脂質含量、脂質組成及び脂肪酸組成を調べると共に、各値を絶対量で標示し、各脂肪酸の消長を調べた。なお、本実験では多量のサンプルを処理する必要があるため、ガスクロマトグラフに直結することができる自動インジェクタ-を備品として購入した。これによりサンプルの処理能力が倍増した。シマアジを分析した結果、脂質含量はふ化後10mmサイズまで著しく減少し、その後緩やかに増加した。脂質中の極性脂質は20mmサイズまでほとんど変化せず、脂質の大きな変動は非極性脂質で見られた。両画分の脂肪酸組成の絶対量を調べたところ、DHA含量は10mmサイズに至るまで直線的に減少した。これらの結果から、ふ化後10mmサイズにおけるシマアジ仔魚は餌料(ワムシ)不足とワムシ中に含まれるDHAすなわちEFA不足を呈していることが明らかになった。 次に、EPA及びDHAを取り込ませたアルテミアを用いてマダイ仔魚を飼育し、EPAとDHAの必須性を調べると共に、両脂肪酸のEFAとしての効力を比較したところ、DHAはEPAに比較し、特に活力において優れていた。現場において良くこの稚魚は活力がある、またはないと指摘されていたが、その原因が現在まで不明であった。本研究の結果より、その因子としてDHAが関与することが実証された。さらに、飼育終了後、生物餌料、飼料および飼育魚の一般成分の分析を行うと共に、脂質組成、脂肪酸組成を調べたところ、EPAは魚体中でドコサペンタエン酸(DPA)にまで転換されるがDHAには転換されないこと、DHAはDPAやEPAなどの脂肪酸に転換されない、すなわち短鎖化されないことも明らかにした。
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Research Products
(2 results)