1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02660213
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 守 京都大学, 農学部, 助教授 (50026481)
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Keywords | ビタミンC欠乏 / 骨格異常 / 酸性ムコ多糖 / コンドロイチン / コンドロイチン硫酸 / ヒアルロン酸 / ニジマス / 脊椎骨 |
Research Abstract |
前年度の研究で,ビタミンC欠乏飼料で飼育したニジマスは対照区に比べ,その成長過程で全魚体1g当りから抽出される酸性ムコ多糖の量が多いこと,また,酸性ムコ多糖のCPCーセルロ-スカラムクロマトグラフィ-による分析で,対照区では魚の成長に伴って酸性ムコ多糖の組成が変化すること,即ち非硫酸化ムコ多糖成分が減少して硫酸化ムコ多糖の割合が高くなることが観察された。しかし,ビタミンC欠乏区ではそのような組成変化は観察されなかった。そこで本年度は,脊椎骨の酸性ムコ多糖にも同様な組成変化が起こるかどうか,また,骨格形成異常と酸性ムコ多糖との関係を明らかにするために,ニジマスをビタミンC欠乏飼料でC欠乏症が発生するまで長期間飼育して脊椎骨の酸性ムコ多糖の量的及び質的変化について調べた。 ビタミンC欠乏区では飼育12週目頃から成長率が低下し始め,骨格変形魚が発生し始めた。飼育15週目の変形魚の発生率は約40%であった。脊椎骨の酸性ムコ多糖の含有量は飼育10週目では両試験区の間に差はなかったが,15週目にはC欠乏区において著しく高くなった。飼育15週目のC欠乏区ではヒアルロン酸の含有量が高かった。コンドロイチン6ー硫酸とコンドロイチン4ー硫酸の比率はC欠乏区と対照区間でほとんど変わらなかったが,酸性ムコ多糖のガラクトサミンと硫酸の含有量(モル比)からC欠乏区では対照区に比べ非硫酸化ムコ多糖(コンドロイチン)が多いことが分かった。以上の結果から,ニジマスはビタミンCの欠乏が進行するとコンドロイチンの硫酸化が阻害され,脊椎骨の酸性ムコ多糖の組成が軟骨のそれに近くなることが分かった。
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Research Products
(1 results)