1990 Fiscal Year Annual Research Report
魚類普通肉中におけるイノシン酸の分解に関与する酵素の特定
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02660214
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
小畠 渥 高知大学, 農学部, 教授 (10036725)
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Keywords | イノシン酸分解 / 5'・ヌクレオチダ-ゼ / 酸性ホスファタ-ゼ / マサバ |
Research Abstract |
1.供試粗酵素液の調製:マサバ普通肉ホモジネ-ト(肉:水=1:1)の遠心分離上清(A)及び沈澱(B)画分を採取し、それぞれを水で透析後、pH6及びpH9でのイノシン酸(IMP)分解活性を測定しながら調製した。その場合、前者の活性を主として酸性ホスファタ-ゼ(A.PMase)に、後者の活性を5'ーヌクレオチダ-ゼ(5'ーNtase)によるものと考え、A.PMaseが水に移行し易い性質を利用して、両酵素の分離を良くするように試みた。A面分の活性は微弱であり、沈澱の洗浄液を加えて活性量の増大を図ったが、その操作により5'ーNtaseも水に移行し易くなり、両者の分離状態は悪くなった。その分離には供試魚鮮度が強く影響する事が判明し、魚を死後1時間以内に処理した場合に、pH6の活性:pH9の活性がA画分で3:1、B画分で1:3と分離度の高い粗酵素液が得られた。 2.添加試験:電子レンジの加熱で(5分間)諸酵素を失活させたマサバ普通肉に、上記A、B画分及び対照として水を添加した3区の肉:水=1:1のホモジネ-トを調製し、5〜7℃の冷蔵庫中に保存して、ATP関連物質量の消長を調べた。この場合A画分の活性が弱いので、それを凍結乾燥して濃縮し、A画分のpH6の活性とB画分のpH9の活性が等しくなるように添加した。その結果貯蔵4日間で、対照区には全く変化がみられず、A画分添加区ではIMPの減少がみられ、それに対しB画分添加区では、PH6の活性がA画分の1/3であったのに、肉中でのIMPの分解はみられず、逆にAMPの分解によるIMPの微増が認められた。以上の結果、マサバ普通肉中のIMPの分解は、血合肉と同様、B画分に多く含まれる5'ーNtaseによるのではなく、A画分に多く含まれるA.PMaseによる事が明らかになった。確認のため、現在A画分からの酵素の精製・分離を進めており、粗精製の段階で、その活性はNaFにより強く阻害されるなど、A.PMaseの性質に良く一致しており、A.PMaseである可能性が高い考える。
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Research Products
(1 results)