1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02660225
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
宮田 育郎 鹿児島大学, 農学部, 教授 (30041619)
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Keywords | 牛肉供給量 / 牛肉流通量 / 食肉市場 / 市場経由率 / 高級牛肉 / 牛肉販売戦略 / 牛肉流通経路 / 輸入牛肉 |
Research Abstract |
わが国の牛肉供給量(平成2年度推計)は約77万9,000tであり、その内訳は輸入牛肉52%、国産牛肉48%である。牛肉消費量は約72万1,000tになるので、単年度の供給過剰量は5万8,000tとなり、それ以前の供給過剰量に加算されて、平成2年度末の牛肉在庫量は約12万tに及んでいる。国産牛肉の流通量約38万5,000tの内訳は和牛30%、乳牛70%であり、総流通量の約45%は食肉市場(中央卸売市場約24%、指定卸売市場21%)経由である。そのうちの約10%が東京市場、約5%が大阪市場の流通量であり、この両市場で市場流通量の約33%を占めている。牛肉市場流通量の畜種別内訳は、和牛約42%、乳用牛約51%、その他の牛約7%であり、供給量に対する市場流通量の割合は、和牛で約49%、乳用牛で約30%である。以上のごとく、和牛は市場経由率が乳用牛よりも高く、乳用牛は市場外流通が主流である。最近、5カ年間の市場経由率を比較すると、和牛は9%、乳用牛は約1%と高まっており、特に和牛は市場出荷が高まりつつある。それは、市場における価格形成で和牛の品質による価格差が拡大しており、和牛の高級牛肉需要が以前のような東京市場需要集中型でなく、全国特に関西市場で強まっていることを意味している。その背景として、輸入牛肉の増加及び牛肉自由化をひかえて、食肉専門店、ス-パ-等の牛肉販売戦略として輸入牛肉と和牛のセット販売の方向が進行しつつある。牛肉流通経路は和牛の市場流通と輸入牛肉の商社及び加工メ-カ-の2つの経路が再編成されつつあり、和牛の市場経由率が低下しないかぎり、現在の卸売、中卸の流通形態は牛肉流通の1つのパイプとして存在することになる。乳用牛の流通は、ス-パ-、生協等の市場外流通として今後も発展すると考えられるが、それは輸入牛肉の輸送技術及び品質改良、価格水準に影響を受けることになる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 宮田 育郎: "オ-ストラリアの牛肉貿易政策と日本企業の進出" 農産物市場研究. 31. 26-34 (1990)
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[Publications] 宮田 育郎: "自由化段階における肉用牛生産の課題" 西日本畜産学会報. 41. 1-3 (1990)
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[Publications] 宮田 育郎: "牛肉自由化直前の牛肉価格及び肉牛生産" 肉用牛基金. 39. 1-11 (1990)
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[Publications] 宮田 育郎: "肉用牛経営の動向と内実" 公庫月報. 470. 2-9 (1990)