1990 Fiscal Year Annual Research Report
クロロフィル蛍光動画像計測法による農作物の生育異常の診断に関する研究
Project/Area Number |
02660263
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
大政 謙次 国立環境研究所, 生物圏環境部, 室長 (70109908)
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Keywords | クロロフィル / 蛍光 / 画像 / 作物 / 生育異常 / 診断 / 非破壊計測 |
Research Abstract |
農作物の生育異常の早期発見のためには、形態的な生育異常だけでなく、光合成のような生理機能の異常診断が必要である。このためには、前段階として、葉の各生育段階における光合成機能の発達を調べる必要がある。そこで、光合成の各反応過程の状態を反映するクロロフィル蛍光誘導期現象を解析できる画像計測システムを用いて、キュウリ葉の各生育段階における蛍光誘導期現象の違いについて検討した。その結果、葉の成長に伴って蛍光誘導期現象に変化が認められた。具体的には、先端の葉では、光合成機能が未発達のためにピ-クPが小さく、I、S、Mといった誘導期現象の典型的な肩が認められなかった。また、老化葉では、Pの低下に加えて、SMTの変化が大きくなった。各葉位において、葉の部位における誘導期現象の変化を調べたところ、葉の先端部の方が基部に比べて変化の進行が早かった。このことは、先端部の方が早く成熟し、老化も早いことを示している。一般に、キュウリのような双子葉植物は、一枚の葉で複数の分裂組織をもつ。半葉で、誘導期現象が同じパタ-ンをもつ領域を調べたところ、葉縁の部分が各々特異的な器官の発達を示し、蛍光誘導期現象のパタ-ンも異なっていた。葉肉部は、二つの異なったパタ-ンに分類された。蛍光誘導期現象のパタ-ンはその組織の発達段階や環境履歴に影響を受ける。このため、隣接する組織でもクロ-ンが異なると異なったパタ-ンを示したと考えられる。以上のことから、クロロフィル蛍光動画像計測システムにより、葉の光合成機能の発達段階を診断できることがわかった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] J.G Croxdale and K.Omasa: "Chlorophyll a fluorescence and carbon assimilation in developing leaves of lightーgrown cucumber" Plant Physiology. 93. 1078-1082 (1990)
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[Publications] J.G Croxdale and K.Omasa: "Patterns of chlorophyll fluorescence kinetics in relation to growth and expansion in cucumber leaves" Plant Physiology. 93. 1083-1088 (1990)
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[Publications] K.Omasa(Eds HF Linskens and JF Jackson): "Physical Methods in Plant Sciences" SpringerーVerlag, 283 (1990)