1992 Fiscal Year Annual Research Report
クロロフィル蛍光動画像計測法による農作物の生育異状の診断に関する研究
Project/Area Number |
02660263
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
大政 謙次 国立環境研究所, 生物圏環境部, 室長 (70109908)
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Keywords | クロロフィル / 蛍光 / 画像 / 作物 / 生育異状 / 診断 / 非破壊計測 |
Research Abstract |
先年度に引き続き、農作物の生育異状の早期診断のために、光合成反応に関係するクロロフィル蛍光誘導期現象の画像計測法について検討した。今年度は、先年度までの夜温や紫外線、汚染ガスなどの影響に加えて水ストレスに対する影響を調べた。水ストレスは、葉脈を切断することより行ったが、その際、水ポテンシャルが約20分間程0.4MPa低下した。蛍光誘導期過程IDPSMTは、葉脈の切断直後IDの肩が小さくなり、DPが早く立ち上がる現象を示した。また、僅かではあるがPの低下が観測されたが、SMTには、顕著な影響は認められなかった。一方、切断から3時間程度経過した部位では、顕著なDPの低下とそれに伴うPSMTの肩の消失が認められた。蛍光解析の知見から、クロロフィルの蛍光誘導期現象は、光化学系IIの電子受容体QAの酸化還元状態を反映し、初期光化学反応、電子伝達反応、炭酸固定反応などの光合成の各々の反応過程の状態に影響されることから、水ストレスによりこれらの反応過程に何らかの影響を受けたことを示している。一方、葉脈の切断による水ストレスの影響は、切断した箇所よりも先端部に主に現れ、切断直後は切断した箇所の近傍に、その後は班点状に徐々に広がった。しかし、切断後約5時間経過した時点では、正常な状態に回復した。以上のことから、植物葉では一部の葉脈が切断されても他の葉脈からの水の供給により水ストレスとしては一過性で軽度のものであり、また、一時的に光合成機能への影響は受けるが回復できる程度のもであることがわかった。今年度は最終年度ということもあり、報告書の作成を行った。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] J.G.Croxdale and K.Omasa: "Chlorophyll a fluoresrence and carbon assimilation in developing leaves of lightgrown chamber" Plant Physiol.93. 1078-1082 (1990)
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[Publications] J.G.Croxdale and K.Omasa: "Patterns of Chlorophyll fluorescence kinetics in relation to growth and expansion in curumber leaves" Plant Physiol.93. 1083-1088 (1990)
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[Publications] K.Omasa,S.Maruyama N.A.Natthews and J.S.Boyer: "Image diagnosis of Pholosynthesis in water-deficit plants" IFAC Workshop Sereis No.1. 383-388 (1991)
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[Publications] K.Omasa: "Image diagnosis of Photosinthesis in cultured tissues" Acta Horticultuae. 319. 653-658 (1992)
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[Publications] K.Omasa: "Modern Methods of Plant Analysis" Springer-Verlag, 203-243 (1990)
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[Publications] K.Omasa and K.Shimagaki: "Measurement Jechnigues in Plant Science" Academic Press, 387-401 (1990)